時空管理局 特務機関NERV 戦術科 魔導騎士八神はやて三等陸尉
 
 ベルカの秘術を行使する最強の騎士団「ヴォルケンリッター」を率いる魔導騎士。
 こと遠距離広域魔法に関しては高町なのはすら凌駕すると言われており、「彼女だけを見ていると、ベルカ式が近距離戦重視というのが何かの冗談ではないかと思わされる」と、その力を知る者は一様に語る。
 だが「それ以外はてんでダメだ」とも。
 それもその筈で、類いまれなる資質を持ちながらも融合型デバイスを失った彼女自身はただの少女であり、九歳にして幾つもの実戦経験をその身に刻んできた高町なのはやフェイト・T・ハラオウンが特異過ぎるだけだから。
 魔法という降って湧いた力を急速に理解し、自らのものとしていく天性は末恐ろしく、単なる年齢相応の経験不足など大きなマイナス評価たりえない。
 現状、未だ訓練期間にありながら急遽実戦参加することになった彼女に求められるのは、(そんなことが可能ならば)使徒に対する蒐集行使が第一、ヴォルケンリッターの主人という存在が第二、個人戦闘力は三の次である。


 装着型アームドデバイス『シュベルトクロイツ・ヴィーゴ』
 闇の書事件の後遺症がまだ完全に癒えぬ彼女を戦力化する為の「手っ取り早い方法」として、NERV技術科が用意した新機軸のデバイス。「機甲冑(モータードレス)」とも呼ばれる。
 基礎構造は傀儡兵に用いられている技術が使用されており、元々武装局員の強化装備プランとして研究・試作が進められていたものだが、高速飛行能力やアームドデバイスを組み込む試みは前例が無い。
 主動力源こそ装備する魔導師だが、補機として大型傀儡兵用をコンパクト化したジェネレータも備える。
 最大の特徴はカートリッジシステムを利用することで実現した「圧倒的な制圧力」である。重量が標準的な物の六倍はあろうかという大型カートリッジを機械式で連続チャージすることによって、術者本人の魔力を殆ど消費することなく大威力の純粋魔法弾(以後、法弾と呼称する)を二基のランチャーから連続発射可能。ちなみに法弾がミッド式なのは、基幹技術がベルカ式ではないゆえにである。
 その威力のほどは、カートリッジが内包する魔力だけで法弾を形成する為、大型にも関らずはやてが通常のカートリッジを使用して発動する攻撃魔法には遠く及ばない。加えて柔軟性など皆無(無誘導直進弾のみ)。だがそれなりに威力が高い法弾で、圧倒的な弾幕を魔力消耗無く張れるというメリットは極めて大。これは魔力駆動炉からの直接魔力供給で砲撃する傀儡兵と比べてもアドバンテージである。
 一方、防御の要は高出力のシールドで、発生器は座席前部。補機による増幅から得るパワーに物を言わせた堅牢さで彼女を防護。本人の資質も相まって「能動的に回避すること」は最初から諦められている。
 最後に飛行性能だが、推進装置に航空機用を改造したものを二基搭載。とにかく速く飛ぶ(そして敵の攻撃が当らない)ことだけを目的としているため、ヘリどころか通常の航空機と比べても運動性は皆無。ホバリングは可能だが、一度加速すると急減速もままならない。
 端的に表現するなら「ヴォルケンリッターの後ろで砲撃支援を行なう」ことに特化されている。

 余談ながら、技術科内で最初に提案された「八神はやて補完計画」のイメージボードの一つを参照すると、第97管理外世界の技術を利用した非魔法武装を搭載することも視野に入れられていたことが窺える。
 主砲 単装魔導速射砲二基  防護装置 J式抗魔ユニット“ガンバンティン”
機関 ウィル・オ・ウィスプ単法陣式魔力駆動炉  推進装置 ランサーCSF21-J二基

 ちなみに原作と違い、本作のはやては普通の戦闘モードになっても足が動くようにはなりませぬ。ユニゾンしてる時だけ動きまする(そして現状ユニゾン手段無し)。