燃えよペン


著者 島本和彦
出版社 竹書房
掲載誌 シンドバッド
YOUNG CLUB
まんがくらぶ
発行日 1991/1/31
定価 854円
オタク 2.50
パロディ 2.90
シリアス 2.80
ギャグ 3.60
痛さ 2.20
好きさ 4.60
「全てのマンガ家がこうだと思ってもらいたい!」
 どこまで信じていいのか。いや全て信じてもいいんじゃないか。それは幾ら何でも……と読者に葛藤を植え付けてならない、燃えるマンガ家の熱い生き様を描いた作品。
 人生を常にフルスロットルで駆け抜けるその姿は見る人によって滑稽に映るかもしれない。
 だがしかし、そこで魂を共鳴させれば一転して心震わす極上のドキュメントが展開することになるって寸法よ!
 いやまぁ、島本マンガは往々にしてそのギャグになりかねない言霊を意気に受け止めることが肝要なわけですけど!
 実際問題として、描かれている数々のエピソードのうち本当のことも存在しているであろうことは想像に難しくないので、この際いっそのこと実話をもとに「ちょこっとだけ」過激に描かれてると解釈するのがベターだ!(えー
 嵐の転校生の主題歌作者バージョンに関しては、本当に炎の転校生の島本和彦が熱唱しているのを聴いて「じ、実話だったのかー!?」と驚愕したことがあります(笑)
 目的の為なら己の大切にしているものを躊躇なく差し出し、糧とする。より高みを目指して命を削る。信頼と馴れ合いをはき違えない。世の中において理想と思ってはいるものの、実行するわけにもいかない様々な魂の迸りを炎尾燃は代弁してくれる。そして決して完全無欠ではなく、随所で垣間見せる人としての弱さが理想論だけでは無理が来ることも説く、実に隙の無いソウルフルな逸品である。
 我々は自分の言葉を統御していると考えているが、しかし我々が言葉によって支配され統御されているのである。
 イギリスの哲学者の言葉だが、島本作品には言葉の魔術が明らかに存在するのだ。
虚無零
 私は「吼えろペン」から遡って読んだクチで、特に島本和彦ファンというわけではない。
 しかし、この無駄なまでの熱さと説得力はまさしくオンリーワン。
 漫画家だとかオタクだとかそういうレベルではなく、人生の書として読むべきだろう。
 かくいう私も「あえて寝る!」を実践している。

一恵りょうこ
 マンガ描きに限らず、ものを作る側の人には多かれ少なかれ 共感する部分があるのではないでしょうか。
「敢えて寝る!」は諸刃の剣だと思います(経験済)

寄星蟲
 主人公の漫画家、すげー空回りです。アシスタントも、知合いの漫画家も、みんな空回りです。やる気があるのは分かるのですが、出力ゲージ振りきれ状態で燃費が悪すぎます。
 でも、読んでいるとだんだん羨ましくなってきます。あの空回りの世界に「混・ざ・り・た・い」という禁断の欲望がふつふつと沸き起こります。
 いやー、漫画家の生活って本当に楽しいですね。外から見てるのは。

月咬
「マンガ家はこんなに大変な仕事だったのかっ?!」
 マンガ家を題材としたマンガを読むと大体こういう感想になるけど燃えよペンを読んでるとそのツラさがとても楽しそうに思えてくるのが不思議。
 オタ漫画というよりむしろマンガ家と編集の熱血格闘マンガです(笑)

ゴルゴ31
 この作者特有の熱さはそのままに漫画家という職業を表現しきれているのはやっぱり凄いですね。大いに笑える作品なのに説得力がある。シリアスな感じを漂わせつつ笑わせる。バランスが絶妙な所でとれていると思います。
「オタク」としての印象は薄い作品ですが要所で押さえている微妙なリアリティがちょっとしたオタクを表現している感じな作品ですね。

さぼり
 実際にやられたら迷惑きわまりないシチュエーション満載でネタ色も強いですが、金言の数々と何よりも真剣に仕事する姿のカッコ良さが胸を打ちます。仕事場でドリンク剤飲む時はこの漫画を思い出さずにいられません(笑)
「そんなバカな!」「いや、でも島本ならやりかねない」という微妙なノンフィクション感も面白いところで、島本和彦が今まで築いてきた作者イメージあっての作品だと思います。
にゃろ
 島本和彦を一言で表せば「熱い!」となるわけですが、その「熱さ」を語ろうとすると一筋縄じゃいかない、島本流の「熱さ」があり、そこに惹きつけられてやまないのです。
 汗と涙と血と、魂の叫びがほとばしる、彼の作品の中でもとびっきり熱い一冊です。

東山海里
「オタク」とはちょっと違いますがマンガをかくからにはこの熱さがないとっ……ってほどかはまだわかりませんがマンガを描く人には大切なものを教えてくれるマンガです……タブン。
 熱い主人公、無茶なスケジュールも気合で答えるアシスタントたち一体どこからがフィクションでどこまでがノンフィクションなのかはわからないが些細な疑問なんて吹き飛ばすほどのハイテンションが冒頭からずっと続く。
 どんなに無茶をしてても一度も落とす話がないなどマンガに対する主人公の情熱は見習うところがあるのかもしれない。
 ちなみになぜヘッドギアを装備しているのかは謎。

ワダツミ