NHKにようこそ!
#1


著者 原作 滝本竜彦
漫画 大岩ケンヂ
出版社 角川書店
掲載誌 月刊少年エース
発行日 2004/6/26
定価 560円
オタク 3.76
パロディ 2.81
シリアス 3.06
ギャグ 3.06
痛さ 4.13
好きさ 4.19
 キミは気づいているか? N.H.Kの陰謀に!
 青春を後ろ向きに駆け抜ける驚愕のノンストップひきこもりアクション開幕!!

 というわけで初めてこの作品のタイトルを聞いた時は、NHKに社会科見学か体験入社でもしての研修模様を描いたものだと盛大過ぎる誤解をしていたワダツミです。実際のところ、日本放送協会でもなければ日本貧乳協会でもないわけですが。
 四年間ひきこもりを続けた主人公が、親からの仕送りを打ちきられて社会復帰せざるをえない状況に立たされるところから始まるこの物語。前向きに心機一転してどうこうするわけではありません。あくまで成り行きなのです。
 主人公である佐藤君。世に多々在る「ダメ人間キャラ」に比して最低限の社会道徳っつうか一般的な理性は持ち合わせてるような気がしないでもない。ダメを自覚してるので。
 が、その印象も序盤の壮絶な対人恐怖症っぷりでぶち壊し。やっぱりダメな奴なんだと思い知らされます。全力で。追い打ちをかけるようにクスリまでキメ出す始末。
 そんな彼の前に現われた美少女が手を差し伸べてくれても逃げるんだからオタ的にもなんつうかチキン。例え少々如何わしくても前のめりに倒れていって欲しいところです。現実でそれやると、妙な商売にひっ捕まって莫大な負債を抱えることになりますけど。ほら、アキバでメイドさんが宝石とか売りつけてくる店在るそうじゃないですか(えー
 そんなこんなで十二分にインパクト溢れる導入なのですが、二話からオタクな後輩が登場することで大加速ブースター装備。成層圏を離脱します。そのままアニオタやエロゲオタになるだけでも十二分にヘルファクターなのに……。
 よりによってロリコンです。詳しくは本編を読もう。
 とまぁ本質的にはラブやんのカズフサと渡り合える超逸材なのですが、顔が良いので痛さが緩和されています。ひきこもりっぽい不健康さが無いんですよね。
 一巻終わった時点で話の全貌がまだサッパリなので、これからどうなっていくのがか非常に気になるところです。脱ひきこもりの方法というか掘った墓穴の埋立作業がどう見ても不可能なことやってるんで、現状では佐藤君がどこまで悲惨な状態にはまり込むかってな感じではございますが(笑)
 この辺ある程度のリアリティがあったらもっと先が気になる楽しさがあったかもしれない。イヤ、今でも十分楽しいんですけれど。
一恵りょうこ
 引きこもりとかオタクとか、題材自体はとてもイタイのですが単行本を通して読んでもそれほど生々しいワケでもなく。
 絵柄が爽やか風味(?)なせいもあるのでしょうか。
 山崎はすっかりわたしのときめき対象です。

edith
 岬タンはカワイイ!!好きだ!だがそれ以上にオタクの後輩である山崎くんがカコイイ!!大好きだ!
 彼のようなぶっ飛んだ知り合いが欲しいです。マジで。
 で、肝心の主人公はゴミです。いろいろと。自ら人生を全力で転がり落ちていく様は激しく笑えますが。
 しかし作中で岬タンがその主人公に惚れているように描かれているのが不思議でしようがありません。
 一巻の内容だと主人公に関わりたいが為に彼是と手を考えて(その内容が稚拙で激しくカワイイのですが!)近づいているように見えるのですが……。真相は?
 そういえば主題となっている”ひきこもり”ですが、全然それっぽくないのはどうなんだろう?

隠されたトウフ
 とりあえず一言、全体的に漂う主人公のヒキコモリっぷりがイタイタしい。
 微妙に現実感漂う設定にギャグなんだろうけど笑えない所が多数あったり。
 一応オタクの主人公が完全オタクの相方に引っ張られる形でオタク的人生に道を踏み外しつつ、その過程でヒキコモリ脱出を図るという漫画……でいいのかなぁ。
 オタ漫画というよりヒキコモリ漫画なので、反面教師的な自戒のためにドウゾ、といった所でしょうか。
 まぁ現実にはヒキコモリを脱出させようとしてくれる女の子なんて現れませんけどね。

毛玉
 どちらかと言うと「オタク」というより「ダメな人間」の物語といった雰囲気。
 アキバとかエロゲーとかメイド喫茶とか、記号としてのオタ要素はそれなりに出てきますが
それらは全て主人公のダメ人間さを引き立てるためのスパイスでしかなく、これらのスパイスを抵抗無く受け入れられる人にとっては、この作品はごく普通の「人間ドラマ」に見えるかも。
 あと決してこの漫画は「ビバオタク!」というような内容ではない(むしろ限りなくネガティブなエッセンスとしてオタ要素を盛り込んでる)ので純粋なオタクの読者は苦虫を噛み潰したような顔しながら読むことになるかも(僕もその一人)
 メインとなる読者層が感情移入するのは主人公ではなく後輩の山崎君の方かしら?
 岬ちゃんはとても可愛い。

ゴルゴ31
 これほどまでにネガティブを描ききった作品も稀でしょうね。エロゲー製作とかそういうオタク的な所以上に合法ドラッグに手を出したり、小学生を盗撮したりとオタクの立場から見ても悲惨な主人公の状況がある意味オタク読者の心を救います(笑)
 しかし、その内容とは裏腹に作品の雰囲気は明るく、テンポ良く読めるのが嬉しいところ。それからヒロインの岬ちゃんが可愛いのも嬉しいですね。主人公やキモオタの山崎のキャラデザも親しみやすいものになっていて痛さとは裏腹に読者をそんなに選ばない作品になっております。

さぼり
 メイド喫茶、エロゲ、ロリ盗撮など登場する要素は申し分ない(笑)もののそれらはあくまで自虐ネタ扱い。オタ単語はそのつど太字で書いてネタっぽさを強調し、登場キャラはおしゃれ服からラフな格好まで着こなすナイスガイ&キュートガールばかりという変に脱オタ的なオタ漫画。(けなしてる訳ではないです。むしろこのキャッチーさは猛烈に好き。)
 コメディ部分だけさらっと読んでも楽しいですが、たまに入る主人公のひきこもり独白や初回のドラッグ描写などが地味にリアルで読ませます。おそらく原作の小説のキモもそういう部分にあったんじゃないかと思いますがどうなんでしょう。

零黒
 原作を読んでから数年を経て発売されたこのマンガ。
 あれ、こんなだっけ?と思うのはブランクだけの所為でもなさそう。
 といったわけで、原作より主人公のヲタ環境がリアルになって、同原作者によるもう一つのNHKYと捉えてもよいかも。
 西村理○やメイド喫茶等、つかみ的な話題はでてくるものの、ネタはベタに押さえ気味で、ヲタをやや客観的な視点からも見られる。
 漫画担当の大岩氏の描く女の子がやたら可愛く、主人公ならずともスパッツ○学生には惹かれたはず!

にゃろ
 やばい。洒落になってない。さすが原作者がひきこもりのプロだけあって、オタ行動がリアルすぎて怖い。それだけに身に覚えのある行動を主人公にとられると痛い、痛い。
 こういう本が電車の中吊り広告やテレビのCMでバンバン宣伝されてのを見るにつけ、ほんと日本のオタ文化ってすごいんだなと実感してみたり。

羽澄葵
 最初本屋で小説の『NHKにようこそ!』を見かけたときN□Kという文字に猛烈に反発してスルーしてしまいました。
 表紙が安倍吉俊なのに……なのに……なのに……を連呼しながら……。
 二年後本屋で漫画が出てるのを発見。作画△槻ケンヂ?と意味の分からない呟きを発しながらスルーしてしまいました。
 でも気が付けば手元に置いて毎日読むようなはまり様。人生って分かりませんね。
 内密的な世界に閉じこもって夢や幻影が語られる様はオタクのキーワードを多く散りばめてますが、本質的には大正文学に近しい存在だと思います。まあそんな騙しや心理描写を一杯含んだ点、主題がオタクでなくヒキコモリだという点では他の作品と一線を画してるでしょう。
 ネタだけでなく読み物として素直に面白いです。
 蛇足ですが漫画版の終わり方のタイミングが"ぶん、ちゃっ、ちゃ"というリズムなのが心地よくて好きです。

東山海里
 学校の先輩から「こうならないようにな」みたいなことを言われて小説版を渡され、「ならないっすよ!」と言った時を覚えている……。
 そして何年か時がたち漫画が出た今…も、もしや、なりかけてねぇか自分!!!
 きゃー!いやー!NHKの陰謀だー!(違)
 と思わされるマンガですっ!! こわいよーこわいよー。

hidaka
 彗星の如く現れた傑作。
 原作である滝本氏の小説はその文体のクセから人を選ぶところですが、この漫画版は気軽に万人(のオタ)に薦められます。
 ごく普通のひきこもり青年が、オタ仲間と謎の美少女に出会ってしまった事から始まるドタバタネガティブワールド。ここには現代オタクのありとあらゆる“イタさ”が詰まってる!
 作画の大岩氏のテンポの良いネームセンスも最高。オタ向け漫画の中では今年一番の大収穫かもですよ。

美月
 大岩節のギャグのお陰でまだ笑える所あるけど、オタクにとって引き篭もりは重大な問題。
 ましてや人が怖くなったり合法ドラックきめこんだりと、かなり痛々しい場面満載。
 社会、そして岬の陰謀にこれから主人公はどうハメられていくのか。今後の展開に大きく期待。
 まぁ現状ではエロゲ製作ごっこ(としか言いようが無い)のせいで、あまり心境に変化が見られていないが。
 ちなみに先コミック読んじゃったんで、最終巻出るまで小説は読みません。

YOKA
 ひきこもりが社会復帰の為に堕ちていく様を描いているがどれも思い込んだら一直線的な展開。
 エロゲ会社を立ち上げようとする主人公だが、同人からでは無くいきなりブランドのあたりが現実感を乏しくしているように思える。
 悪の秘密結社NHKの解釈には多大な同意を持てる作品。

 んな可愛い娘が勧誘にくるなんてありえねぇよ!と一蹴してしまうのはまず待ってもらうとして、ネット社会になってひきこもりが話題になってるけど、実際にどんななのか知らん人も多いと思う。
 そんなひきこもりからの脱出がコミカルに書かれていて表面上は楽しみながらどんどん読みすすめられる。
 が、かなり生々しいネタも混じり……作者はどこまでリアルな自分を切り売りしてるのかとちょっと心配になってきたり色々な方向で楽しめる作品です。

檸檬来夢
 原作の人の別の小説は読んだことがあるのですが、どこで盛り上がっていいか分からない作品でした(ネガティブハッピーチェーンソーエッジ)。
 先にそっちを読んでしまったので、小説版は未読。
 この漫画、ねらいどころ間違ってるよなぁというのが感想。
 ゲーム作ろうという件は面白いんだけどなぁ。
 今後の展開がいろんな意味で楽しみではある。

ワダツミ