オレ通AtoZ


著者 恋緒みなと
出版社 講談社
掲載誌 ヤングマガジン
発行日 1996/8/6
定価 505円
オタク 3.67
パロディ 1.75
シリアス 3.00
ギャグ 2.17
痛さ 4.00
好きさ 3.67

 俺はこのネットじゃちょっとした有名人。
 それは----CGを描いてUPしているからだ。
 皆が「先生」と呼んで尊敬してくれてる。

 インターネットが普及する以前、ネットと言えばパソコン通信でした。っていうところから説明しないといけない作品(笑)
 パソコン周りの環境は激変していようと、オタクの中で絵が描ける人はヒエラルキー最上層という状態は変わらない。
 今風に言うなら、ネット駆け出しの少年が2ちゃんのスレで絵師デビューして、保管庫も開設。職人さんとしてもてはやされてますってところでしょうか。そのスキルで色々と美味しい目にあい、それにまつわるトラブルも発生していきます。
 主人公・ヨッキ君は魅力の薄いキャラです。絵は上手なものの、お世辞にも善良とは言えず、自己中心的です。年齢相応のメンタリティと言い換えてもいいです。
 しかし、これが実に生々しい描写に繋がり、作品評価を高めてるわけデスよ(笑)
 小さなハプニングはあれど概ね順風満帆なネットライフ。少年はこれが若さってなもんで天狗になり、参加勧誘されたBBSに調子こいた書き込みを行なってしまいます。本人はその自覚無く(←ポイント)。礼を欠いたその書き込みは反感を買い、BBSメンバーからは放置プレイ。唯一のレスは反感丸出しの叩き。自分がなぜ不興を買ったのか理解出来ないヨッキ君、煽り返す。一連の心情と文面の痛さは必見である。
 そして自宅前でリアル襲撃を受け、殴られた。
 これは凄い。当時リアルタイムで連載を追い掛けてたんですが、ネット仲間でもえらい盛り上がりましたね。この作品がここまで語り継がれているのはこの伝説的エピソードゆえと言っても過言ではない位です。それ程のインパクト。今読んでも凄い。
 ヨッキも痛いが、襲撃者もアグレッシヴ過ぎます。怒り心頭の彼はヨッキに「俺の方が絵がうまい」とか言われちゃってる辺りが原因の一つっぽいのでいよいよもって生々しい。
 ストレート。実にストレート。大変わかりやすく彼の意見が伝わってきます(えー
 自分も語尾に「w」を付けられるのや「○○ですが、何か?」ってのは非常に苦手としますが、だからってここまで怒りの炎を燃やすことはない(笑)
 実際問題、怒りの矛先を向けた相手以上の無法を犯している事実に気付いてない人は、多いのだ。
 とまぁいつものスタイルとは逸脱する形で直接的な内容を紹介することになってしまいましたが、オレ通を語る上でこのエピソードだけは外せないのであった。
 八年前と少々昔の作品ながら、ネットを通しての交流を描いた作品として今でも十分読ませてくれる作品だと思っておりますよ。いやまぁ、数々の美味しい体験はぶっちゃけありえねーってなもんですが。そこはそれ(笑)
虚無零
 ネットで怒らせた相手に家で待ち伏せされ殴られる。
 というあまりに有名なシーンは、私のようなパソ通未経験者に間違った知識を植え込むこと必至。
 この漫画に書かれてることを全て信用するのはあまりに危険だが、ネタとして楽しむには申し分ない。
 私も主人公のようにアイドル声優(巨乳、八重歯装備)と仲良くなりたい、もきゅもきゅ。
 巻末に用語辞典が載ってるから、パソ通未経験者も安心!

m-hiro
 もう、むかつく相手をリアルで殴りに行く事ばかり有名ですが、今でも役に立つHOWTO本ではないでしょうか?
 確かに今に比べたら大分、技術は劣ってますが、根底に流れてる物は変わらないなーと思わされます。
ネタ面でもオタのドリームが詰まってます、声優と交流したり、先輩と付き合いはじめたり……。
 今のブロードバンド時代の人は驚きつつ、パソ通時代の人は懐かしみつつ楽しめる漫画だと思います。
 2ch用語も、あと数年したら波動みたいな扱いになるんでしょうね。

ゴルゴ31
 出てくるパソ知識に時代を感じます。まあそこから分かることは作者はマックが大好きということですが。しかし「AIが止まらない」と並んでメジャー誌で濃いパソ知識を取り入れた作品を出したのは評価できるかも。
 ま、問題は主人公ですな。ハッキリ言って感情移入できる以前のキャラなので嫌悪を抱く方も多数いらっしゃるでしょうから、そういう意味じゃ一歩引いて読む漫画かと。しかし、半角カナ口調使って殴られるなんてギャグにしかなりませんな(笑)

にゃろ
 草の根通信全盛期である十年近く前のネット世相をリアルに現代に伝える貴重な文献。
 波動erとか何年ぶりに聞いたかな……いや、懐かしい。
 今も昔も変わらぬ「やっちゃった」っぷりを発揮する主人公を暖かく見つめつつ、当時の雰囲気に浸れること請け合い。作者もまさかこんな読まれ方をするとは思っていなかったでしょうね(笑)
 今のオタ漫画も十年後に読むとこんな感覚になるのでしょうかね。

東山海里
 ちょっと一時期前のネットワークなお話し〜。
 なのでPC使ってる私もさっぱりわからないネタの部分が(汗)
 あと女の子ってこういう世界じゃ有利だよねぇとおもっちゃう漫画っ。
 あぁなんか、だめだ!(なにがだ)

hidaka
 まだインターネットというモノが一般的ではなかった頃、僕らの目の前にあったのは確かにこんな世界だった。そんなわけで「パソコン通信」をテーマとしたラブコメ漫画です。
 草の根BBSという古のネットワークを扱っているため、今となっては若干テーマの古さも否めないですが、「草の根BBS」という単語を「インターネット上のサイト」に置き換えれば、実は作中の事件は現代でも十分起こりえる事ばかり。オフ会とかもそうだけど、何より遊々さんとの仲を深めていく様は、僕らが今している「ネット上での友人作り」と何ら変わらないんじゃないかな(ふく助に殴られるのは真っ平御免だけど)。
 発表年数や出てくる単語の古さに惑わされず、ネット漫画の先駆けとなった作品として読んで欲しい。面白いから!(シンジロ

MAS-R
 図に乗った絵の上手い主人公が、「ふくすけ」というオタに自宅前で殴られる話。
 物語中盤で、思い上がった態度を取る主人公だが、彼の醜態を見ていると、高校時代にはきっと誰もが感じていたであろう全能感、あるいは根拠のない自負が思い出され、実に恥ずかしい気持ちになる。高校生オタにしばしば見られる「イタさ」の克明なる描写は、まさに本作ならではと言っていい。
 昨今の少年犯罪でも取り沙汰されていることだが、インターネット環境の低年齢化はもはや止めることができないところまで来ている。そうした状況を鑑みるに、今ほど「ふくすけ」のような超法規的存在が求められている時はないだろう。
 昔の日本人は、「ウソをつくと閻魔様に舌を抜かれる」と道徳教育をされたものだ。最近はやりのインターネット教育の現場にあっては、小手先の操作を教える前に、「相手の気持ちを考えない書き込みをすると、ふくすけに殴られる」と教えるべきだろう。

美月
 パソコン通信の話ではあるけれど、今のネット生活の基礎本としても十分通じる内容。
 しかし主人公はパソコンにどっぷりという訳ではなく、常盤先輩のアドバイス等によって、上手なオン・オフラインでの生活を送っています。
 ネットや現実生活を楽しくするのは、あくまで自分次第。
 もし今の生活に不満を感じている人は、これ読んでもっかい自分を見つめなおしてみよう。
 ちなみに熱烈なラブレターは今でも来るぜ!……携帯電話のね。

 一見、パソ通で知り合った男の子と女の子のラブコメなのだが、蓋を開けてみると吃驚仰天。
 のっけから、誰もがインターネットを始めた頃に陥ったであろう錯覚
「自分の思い通りの人間になれるんだ」
 と、主人公がかかっているから、この後に続く話も痛々しくて正視できない所が多々出てくる。
 だが裏を返せば、インターネット初心者にとっては良い本になるだろう。僕はネットを始めた頃(九八年)にこの漫画に出会ったので役に立った。巻末の用語辞典が。
 余談だが、この漫画の連載時期が今頃なら、主人公の夢に出てくる女の子や、アイドル声優はピンクハウスじゃなく、きっとロリ服を着ていただろう(笑

 9600から14400へ、それだけで世界が変わってみえた古き良きパソ通時代。
 作品内だけではパソ通にあまりにも説明不足だけど巻末のパソコン通信用語辞典で補完できて困ることもなくインターネットからの人と、草の根時代からパソ通やってる人では違う楽しみ方ができる漫画です。
 いくらなんでも道端で突然殴られることは無かったと思いますけどね。

檸檬来夢
 私はもろにパソ通やってた世代なので、直撃ですよ(苦笑)
 ただ、これは漫画の世界の話であって、いきなり家に押しかけてきたりそんなことは無かったですねぇ ホストは開いてたのですけどね、十年弱。
 可愛い子と知り合うことは、無かったわけではない(笑)
 今じゃインターネット時代なので、このテキストのみの世界はわからないのかもしれませんが、2chをコテハンのみにして、レスのタイミングを一日単位にしたのが近いかな、議論討論を数ヶ月やったり、楽しかったです。
 みかかちゃんのラブレターは月二万円まで(笑)

ワダツミ