■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第5回(パーティーレベル5) 前編

 ラダラス ウーイァン5
 ランデック スカウト5
 ブレイズ ダスクブレード5
 シアン ナイト5
 ルカ フェイヴァード・ソウル5

 今回は長々とロールプレイパートが展開されます。延々二時間分くらい(笑)
 舞台やなんかに関する細々とした設定は文脈からテキトーに察して下さい(えー

 地下通路の制圧任務を達成し、多額の……そして古参のラダラスやルカにとってはおよそ半年ぶりの成功報酬を手に沸き立つ傭兵隊。
 そこへ振る舞いのワインを手に、今回の掃討戦の前線指揮を執った上級騎士がやって来る。常時先陣に立って戦況に対応していた為、帰陣が遅れたのだ。
 彼の名はオスヴァルト・ラング男爵。年の頃は四〇代後半。短く刈った茶色の髪と、長身に見合うだけの体格を持っている。
 この地を治めるホルストマン家きっての騎士であり、竜の領域に接する辺境の一子爵に過ぎない家中において、白眉といえる存在だ。
ラング「話は聞かせて貰った。貴様達の評判はある程度把握していたつもりであったが、今回の働きを見る限りは価値ある買い物だったと思っている。余計な犠牲を出さずに済んだことを感謝するぞ」
 一人一人にワインを振る舞う。結構な逸品だ。
ラング「どうだ。どうせ一度の成功で払拭できるような評判じゃないのだろう。連戦になるが、もう一度雇われてみないか? 当家は戦勝神の信仰篤き武門の家。結果を出した者に対する払いの良さは知っての通りだぞ」
 伝統と格式を重んじる典型的なヴィーリオン貴族であった先代当主(籠城戦にて部下を残しての脱出をよしとせず、救援を信じて最期まで戦い戦死)は、いわゆる「奇襲用の特殊部隊(すなわち剣と魔法のバランスに優れた少数精鋭部隊)」よりも「威風堂々たる騎士」を頼みにしていた為、前者のような戦力が必要な場合は適宜臨時雇用するに留めていた。

 とまぁかような感じで祝勝の酒宴が開かれ、他のメンバーが受諾の腹づもりで過す中……。

シアン「……さっきの話? えぇ、父さんと兄様達から聞いた限りでは本当です。詳しいことまではわからないけど、ホルストマン家は武勇の誉れ高く、信頼の置ける名家だと聞いてます。少なくとも結果を出せば報酬を出し渋りされるような真似はされないので安心してください。……ただ……いえ、なんでもありません。噂……そう、よくあるただの噂話ですよ……」
 判断力は4ですが知力は15あるんです。知識:貴族もあるんです(笑)
 ちなみにこの「噂」はプレイヤーの完全なアドリヴです。ノリ良くかましてくれているわけです。よろしい、ならばスルーはありえん!
 酒宴の真っ只中で仲間に向かって語り始めてしまったため(判断力4)、他の参加者に聞かれる→男爵へ御注進コンボ炸裂。

ラング「ほぅ、その噂とはいったいどのようなものかね? 許可するゆえ、他の皆にもよく聞こえるように語ってみせるがよい」
 ざわ……ざわ……。
シアン「え〜と、あくまで噂、ですが……。最近ホルストマン家に、竜側の内通者がいるのではという話です。先の先代当主殿の訃報、竜側の砦の陥落後に合わせたようにリッチの襲撃による逆陥落……あまりにも話が出来すぎています。これは当主殿を亡き者にしようと、内通者が砦襲撃の情報を流したから、だと」
ラング「ほう。それは由々しき事態であるな。その噂を、まだこの地に到着して数日の貴女の耳に入れた者が何者であったか、記憶にある限り話してくれ。むろん、仲間達でも構わぬぞ。独自の行動を取っていたのだ、そう多くの者とは顔を会わせておるまい? 会場の皆も構わぬぞ。心当たりがあるものは遠慮無く申せ。
 オスヴァルト・ラングが死霊と内通し、主君を売ったとシュティークロート卿(シアンの家名。男爵家)は申している。これが真実ならば由々しき事態である!」

DM「ああ、知識貴族があるキャラはわかるさ。 貴族が大勢の前で公言したということは、その時点でシアンが『この噂を広めている人間』の第一人者として周囲に認識されることを。
 つまり、実際にシアンが『あくまで噂ですが……』と他の人間に(仲間達以外にも)広めていたという既成事実が公認されつつあります。貴族の体面と責任に於いて、シアンが『ラング卿は主君を売った裏切り者だ!』と(燻り出されながらも)告発したに等しい(笑)」

ブレイズ「なんだ!? このどよめきはなんだ!?(知識無い)」
ルカ「おい、任務で一緒になった兵士たちと話しただけでも男爵が慕われているのはわかったし、現に覇気に富んだ魅力あふれる人物ではないか。だからこそ、喜んで応じるつもりであったのだが……。そんな与太話を頭から信じ込んだあげく、この子はっ……!
 しかし、何故噂話を口にしただけで男爵を内通者として告発していることに!? ……なぁ、先代領主亡き今、それで一番権力を増大させてる人物って誰だ?」

DM「家中の武家筆頭として騎士達を束ねているラング卿かなぁ。子爵の直系後継者がまだ年若い娘なので、その名代として尽力している」(この設定は元からあった)
全員「無駄に痛いところを突いた!?」

 
シアン「お待ちください、ラング卿。お言葉ですがそれは早計という物です……。私達のような傭兵にまで及ぶような今回の噂、そうなれば疑われるのは前線に立っていたラング卿となります。しかし、それが相手の真の目的なのです。
 卿に疑いの目を向かせる事で自身の身を守り、かつラング卿の信頼を失墜させる……内通者の巧妙な罠なのです! しかし、おまかせください。ラング卿にかけられた疑い、我々が全力をもって晴らして見せましょう!」

全員「なん……だと……!?」
騎士「なにを言うか! 貴様達がそうやって触れ回っているのではないか! 敵の策と言うのなら、その尖兵が尻尾を出しただけに過ぎぬのではないかな!?」

 
騎士「そんなわけがあるか! まずは貴様達の身の潔白が証明されなければ話にもならぬ!!」
ラング「まぁ待て。してシュティークロート卿。その噂を貴女に伝えた者の記憶はあるかね? 仲間達もどうだ?」
ルカ「そんな噂、まったく聞いておりませんな」
ラダラス「ええ、全然」
ランデック「この娘、酔っておりまして! 酔っぱらいの戯言かと!!」
ブレイズ「申し訳ありません、ラング卿……彼女はときおりこういった見当違いの奇行をしてしまうのです……」
シアン「えええ!?」
DM「全員で距離を置きやがったー!!(笑)」
 ちなみにこの辺もアドリヴな為、「仲間達も揃って聞いていた」なら、実際に兵営にその噂が流れていたことになるものの……。
ラング「ほう。それは不思議だな。基本的に行動を共にしていた筈の仲間達の耳には入っておらず、シュティークロート卿にだけ……であるか」
シアン「ラング卿! これぞ敵の策略である証拠! きっと私を利用して噂を広めるつもりなのです! ちなみにどのような者から聞いたかはさっぱり覚えておりません!」
騎士「まんまと乗せられたというわけか! あまりにも見え透いて愚かしいことだな!」
DM「居並ぶ騎士達から大ブーイングが(笑)」
ラング「まぁ静まるがよい。とりあえず……ここは一つ先程の嫌疑に対して釈明することを許して欲しいのだが、どうかね?」
シアン「もちろんです、ラング卿」
ラング「シュティークロート卿においては、件の噂が信じるに足る点があろうからこその発言であると思っているが、相違ないね?」
シアン「はい」
ラング「しかしだな。敵の砦を攻めた。敵は援軍を要請した。だが援軍が届く前に砦を陥落させた。一方遅れて到着した敵の援軍は砦を再び陥落せしめ……それを受けて我々が到着し、リッチが立ち去ったあとの砦を再占領した。つまりはそういう話だと私は認識しているのだが……これがそんなに不自然かね?」
ランデック「『ラング卿の言うことはごもっとも。私が間違っておりました。あの噂はデマだったのでしょう』って言え!」(ヒソヒソ
ブレイズ「『私が間違ってました』って謝れ!」(ヒソヒソ
ラダラス「お前騙されたんだよ(笑)」
 ちなみにルカのプレイヤーは後先考えない過激な提案を繰り返しており「それはプレイヤー発言なの!? キャラ発言なの!?」と詰め寄られたりもしてました(笑)

ランデック「少なくとも戦いになるのだけは勘弁して欲しいぞ!(笑)」
シアン「…………私が早計だったということがわかりました(渋々」
ブレイズ「納得がいってないのかい!?」
シアン「別にラング卿が裏切り者だとは一言も言ってません! …………そうか! この中に裏切り者がいるんですね!?」(居並ぶ騎士達を睨みつつ
騎士「なんだと!? 貴様、言うに事欠いて我々を裏切り者呼ばわりするのか!?」
シアン「そうです! この中にラング卿を陥れようとする悪がいる!!」
全員「かましやがったぁぁぁ! 嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」
DM「激昂した騎士が五人くらい抜刀するね」
シアン「貴方たちが犯人ですかぁぁぁ!」(負けじと抜刀)
全員「抜いちゃらめえええ!!」
DM「躍り込んで来た衛兵が君達を取り囲む(笑)」
ルカ「ちなみにこれ……斬り殺されても文句言えない状況ですよね?」
DM「いやぁ、まさかここまでアグレッシヴな展開になるとは予想外(笑)」

 後編に続く!

 あ、ちなみにシアンのプレイヤーが「意図的に判断力が低いキャラを演じたゆえの極端な行動」かというと決してそーいうわけでは……(えー
■“ファヴ傭兵隊”キャンペーン 第5回(パーティーレベル5) 後編

 年末の忙しさから手間のかかるレポート作業が後回しにされまくった挙げ句にプレイが溜まりまくって洒落にならないので、簡略化してでも消化しないとなぁなんて地道に書いてたのをとりあえず公開。

 というわけでシアンの大暴走によって斬り捨て御免状態に陥った傭兵隊。絶体絶命のピンチである。
全員「ヤバいヤバいヤバい。処刑される処刑される」
DM「まぁあからさまに居並ぶ騎士達を告発という名の侮辱をしたわけで……(笑)」
ランデック「と、とにかく謝罪するんだ! 俺は関係無い!」
DM「会場のボルテージが最高潮に達しているところ、ラング卿が両者の間に立つ」
ラング「シュティークロート卿も正義感からやったこと……。私は気分を害しておらん。諸君らが告発されたことが腹立たしいことなのは理解しておるが、ここは自分の顔を立てて剣を収めてくれんか? もちろんなにも無罪放免にしようというわけではないのだ……」

 とまぁこんな感じで傭兵隊は酒宴会場から叩き出され、謹慎。
 で、翌日。ルカとラダラスがラング卿に呼び出される。

ルカ「くぅ。何を言われるんだ」
ラダラス「俺達二人だけか」
DM「ラング卿の天幕に着いたよ。中に通される」
二人「昨晩は大変申し訳ありませんでした…………」
ラング「派手にやらかしたものだな。まぁあの時申したように、無罪放免とはいかん。だが貴様達の力でどうにか出来る問題でもないのでな。以降の話はシュティークロート家の方に通させてもらうことになっているよ」
DM「つーわけできっとシアンの実家には後日莫大な賠償金みたいなのが請求されるだろうね(笑)」
ルカ「れっきとした騎士だから、殺すよりも実益がある方法をとったというわけかぁ……」
ラダラス「何の後ろ盾も無い平民だったら処刑だったな」
シアン(外野)「父はきっと呆れ果てていることでしょう……」
ラング「なので、貴様達の精算は終了だ。私としては昨日話し掛けた件の続きをしたいのだが?」

 国境西に広がる沼沢地へ諸侯連合軍が攻めることになっているので、傭兵隊は正規軍が正面で激突する隙を突いて敵の巣地域を奇襲せよという話。
 もちろん戦闘部隊だけでも10000近い兵力が投入される戦争なので、この傭兵隊だけが請け負うのではない。他の傭兵……つまり剣と魔法のバランスがとれた特殊部隊とも言える冒険者編成のチームが幾つも参加するのだ。
ラング「わかるとは思うが、実に危険な任務だ。だがホルストマン家の手の者が奇襲に成功し、ドラゴンを倒すといった大きな戦功を挙げれば、姫の代になったとしても健在であることをアピール出来る材料になる。しかし知っての通り我々には手持ちの『そういった戦力』が存在しないのだ……」
ルカ「なんと誉れ高き任務! ぜひともお任せ下さい!!」
ラダラス「ドラゴンと戦う機会を与えて下さるとは……!!」
ラング「そうか。引き受けてくれるか!」
ルカ「ていうかこれ、絶対に断らない二人を選んで呼び出してるよね(笑)」
(ラダラスは故郷をドラゴンに滅ぼされたという設定)
DM「当然!!」
ルカ「報酬ゼロでも受けてるね! 『報酬? そんなの竜倒せばいくらでも手に入るじゃん! OK!』」
ラダラス「ただでさえ借り作って断れる空気じゃないしな〜」

 ちなみに報酬はスタートが10000で、一日経過する毎に1000ずつ減額されるという歩合制。そして途中で諦めるなり日数経過で0を割ってマイナスに突入した場合、契約終了+違約金が発生するというハイリスクハイリターン。
DM「シアン、随分と予備武器が増えてるね」
シアン「冷たい鉄のショートソードとかも用意しましたから!」

 
 沼地をゴーゴー。斥候ランデックは例によって視認に失敗して水面下で待ち伏せる巨大ワニに喰われる(笑)
 脱出不能の大ピンチを仲間が袋叩きにしてどうにか助け出そうと殺到よ!

 
 門番の奮闘を受けて飼い主達も登場!
 護衛を壁に遠距離から弓を射かけてくる。
 冒険者達は沼地を徒歩で移動しているため、見た目以上に遠い! ルカがクイックマーチの呪文で移動力を強化するぜ! くわ、矢に毒が! ええいショッキンググラスプ! マジックミサイル! シアンが「気概試し」を発動して上空から撃ち下ろされる矢の雨を一身に引き受ける!
 とかそんな激闘がリアル時間で二時間半ほど繰り広げられ、対空手段が乏しく撃墜できないでいたアーチャーがラダラスに一斉射したらもう駄目だ……とその時。
DM「あ、矢が尽きた……。あるんだなぁ、こんなこと……」
 なんという御都合主義! アニメかよ! そんな展開に救われ、どうにかブレイズのスイフトフライによる突撃で勝利するのであった。
 だがボロボロもいいところなので撤退。ちなみに撃墜したアーチャーのマジックアイテムを拾おうと、入口近くの水面に近付いた瞬間、中から呪文が飛んで来て慌てて帰ったりもした(笑)

 
ランデック「絶対に組みつかれる自信が有りだぜ!! 19だ!」
ブレイズ「組みつかれる、なんだ(笑)」
ランデック「さっきのワニにすら勝ち目が無かったんだぜ!? こんなのに勝てるわけがない!」
 そして写真参照(笑)
 打撃力に関しては自信のある傭兵隊が、純粋なパワーファイター相手に苦戦を強いられるという初の事態に陥る。
ブレイズ「ダメージ減少で攻撃が削られる!」
ルカ「何で抜けるかわからないから、とりあえず予備武器を試すんだ!」
シアン「ロックトガントレットなので、武器の持ち替えに時間が掛かるから無理です!」
ブレイズ「なん……だと……!?(予備武器はりきって揃えてたのは一体……)」

 
 どうにか倒して遂に洞窟に突入。
 待ち構えるのは3体のリザードマンの遊撃兵と、物陰に潜む棍棒持ったリザードマン。後者をこの時点で視認に成功したのはランデックだけで、他は失敗していた。
 重装甲のシアンを前面に押し立てて、片っ端から射撃を弾きまくる。そして落とし穴に落下。
DM「ロックトガントレットで武器捨てることもできないから、泳げないね。そもそも鎧が重過ぎて、手が空いてたとしても無理だけど」
 まぁこれは予想通り過ぎる展開なので、とりあえずこの戦闘中は戦力外なことを暫定。高台にダークウェイを架けて突入する他の前衛達。

 
 高台という地の利を封じられてしまえば脆いもので、防戦一方なリザードマン達を押しまくるその時だった。
ルカ「よし、俺も前に出るぜ!!」
棍棒リザードマン「その瞬間を待っていたぁぁぁ!!」
 入口部分を確保していたルカが踏み込んだその時だった。物陰に潜み続けていた棍棒リザードマンが躍り出て、独り後方に残っているラダラスに襲いかかる!
棍棒リザードマン「天佑とはこのことか! とったぞ!!」
ルカ「そんなところに敵がいたのか!?」
DM「ランデックだけ存在を知っていて、それを仲間に教えてなかったモード」
ラダラス「いかん! インヴィジビリティ!!」
 しかしダイスは無情だった。透明によるミスチャンスを突破し、全力強打の直撃を喰らってあえなく瞬殺されるラダラス。
棍棒リザードマン「敵の術者を仕留めたぞ!! 勝利だ!!!」
 作戦の成功に、防戦に徹していたリザード達も勝鬨を挙げつつ撤退を開始。
 怒りに燃えるルカの攻撃によって棍棒リザードマンは倒されるが、その顔は満足気であった。

 撤退しつつ、その日のプレイは終了。