■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター1

 アストリッド ローア・デルヴァー1/ウィザード5/ローグ1
 ヒスイ ローグ7
 カナート ノレッジ・アポスル1/クレリック5/スカラー1
 ニイル ホーリィ・リベレイター1/レンジャー1/ファイター2/ローグ3
 グラウル スペルソード1/ウィザード4/ファイター2

ニイル「引きずって持って帰るしか無いわけだが……」
ヒスイ「バッグ・オヴ・ホールディングに入らないかな……無理か」

 現状は、アストリッドが昏倒かつ筋力1。グラウルとカナートと使い魔ソピアが自我喪失。
 そしてなんと!!!

 カナートのプレイヤーが仕事の多忙につき、交代しました。
 かつてのパラディンのプレイヤーが帰ってきたぞ!
 というわけで前回までのカナートに対する負の遺産は忘れてあげて下さい(笑)

ヒスイ「ニイルはキュアのワンド無いんだっけ?」
ニイル「他のワンド揃えるのに手一杯で買ってないね」
ヒスイ「そりゃ有ったら前回ポーション云々で苦労してないか……」
 実際、回復手段は最優先で確保しておきたいところであった。
ニイル「とにかく引きずるなりなんなりで安全なところに離脱しないとな」
DM「パス・ウィズアウト・トレイス唱えないと引き摺った後が延々と残ることになるよ」
ヒスイ「あ、そうか……。ええとその場合は引き摺ってると……」
DM「所持品扱いにはならないから、全員……つまり6体分使用する必要があるね」
ヒスイ「え? 6?」
DM「ソピアがいるでしょ? それ黙ってて、かけるの忘れてて追撃されました、ってやりたくないし(笑)」
アストリッド「そうよ! 忘れないでよ!(笑)」
 
ヒスイ「でも小さいから持ち運べてるんで、足跡は……あ、匂いは残るか」
DM「そーいうこと。足跡残すよりは見つけにくいだろうから……で敢えて使わないっていうなら構わないけど」
ヒスイ「使います使います」
DM「じゃあお次は生存判定で“安全そうなところ”を見つけてもらおうかな」
ニイル「聖衛士(レンジャー)の俺の仕事か……15だ」
DM「じゃあ30分ほどかけて、15程度の場所に移動した」
ニイル「じゃあ俺が皆を守るから、その間にヒスイが街へダッシュして馬を引き連れて戻るってことでいいんだな?」
DM「グラウルは自我は無いけど引っ張りゃ歩いてくれるから、昏倒してるどっちかをロープで括りつけて背負わせることはできるよ。あとは身軽になれば全員帰れるんじゃない」
ヒスイ「戦闘力自体はそんなに下がってないの?」
ニイル「まぁ筋力2ダメージと魅力に……」
DM「ちなみに15という達成値はレベル1のキャラの期待値程度である(笑)」
ニイル「うわーん……でもしょうがない……しょうがない……」
DM「キャラは自分の達成値なんてわからんしな(笑)」
アストリッド「いいとこみっけって思ってるつもり(笑)」
ヒスイ「大丈夫よ」
DM「相手に知性のあるアンデッドがいるのを確認しているからね」
ニイル「ああ、そうね。いたね」
ヒスイ「痕跡を追われることはないけど、目視で尾行されてたら意味無いし……。でも少なくとも無数の選択肢の中からこの場所をピンポイントで見つけられることは……」
DM「じゃあこれも教えてあげよう。聖騎士や神官は善のオーラを放っているから、それを辿れる可能性はある。パス・ウィズアウト・トレイスの呪文は足跡や匂いといった物理的な痕跡しか消去できない」
ニイル「ああああ!? ちょっ!?」
アストリッド「まじーでー……」
DM「相手にディテクト呪文やそれに類する能力を持ってる奴がいた場合は、強烈な残留オーラがあるから余裕でバレバレ」
ヒスイ「それを誤魔化す呪文もたしかあったわよねぇ……」
DM「あるね。ミス・ディレクションやノンディテクションが」
ニイル「こ、これは許してください!」
DM「ガイガーカウンター&チェレンコフ光を辿る(笑)」
ヒスイ「まぁニイルだけじゃなくてカナートからも発せられてるから……」
DM「ここは格好良く“俺の正義の心が邪悪な奴らを引き寄せるんだ……すまん”とか言うんだ(笑)」
アストリッド「かっこいい(笑)」
DM「ちなみに7レベルの善の聖職者の放つオーラは、単なる善のクリーチャーに換算すると最大50レベルにまで達します(笑)」
ニイル「モロバレじゃねぇか!(笑)」
アストリッド「すごい。そんなになるんだ……」
ヒスイ「でも1時間しか残らないから」
DM「ほとんど距離稼いでないんだから、その1時間がヤバいんだろう(笑)」
ニイル「えええ……」

 そんなこんなで痕跡隠しの呪文も絶対ではないことが発覚する中、最終的には……。

ヒスイ「じゃあ助けを呼んでくるわ」
ニイル「馬を引き連れてきてくれ。俺は皆を死守する」

 気にしないことにした。

DM「まぁ敵の追撃に補足されたら経過も話さずに“君らは死んだ”って言うから」
 どうせ絶対に勝ち目も無ければ逃げられもしないので、その場にいないヒスイに情報を与える必要も無いのです。
ヒスイ「あたしもHP一桁だから途中で狼に襲われるだけで死ぬかも知れないわ……ACも……6? あれ?」
DM「敏捷度ダメージ喰らい過ぎて、今2だもんな」
ニイル「あれ? じゃあむしろ俺が行った方がいいのか?」
ヒスイ「街へ行く途中死ぬくらいなら、ここで潜んでるほうがまだマシかもしれない」
ニイル「じゃあ俺が行くんで……」
DM「ヒスイはちゃんと弾を一発は残しておくんだぞ」
カナート「自決用……(笑)」
ヒスイ「いち、に、さん、4発ね……」
アストリッド「あれー!?」
DM「仲間の介錯用か(笑)」
ニイル「じゃあ街に行きました。馬屋に向かいます」
DM「…………んー。一応確認するけど、装備を諦めればここに仲間を残さずに背負って帰れるというのは認識した上で、敢えてこの行動ってことでよいのね?」
ニイル「昏倒してるキャラもいるし……」
DM「んー、データ的に完全に重量オーバーで不可能ってこと?」
ニイル「最大荷重以内には収まりません」
DM「絶対に?」
ニイル「収まりません。鎧が100ポンドあるし」
DM「鎧脱いでも?」
ニイル「鎧脱げば行けるけど……」
DM「鎧にこだわって死ぬの?」
ニイル「あーあーあー……そうか。それがあったのか。でも鎧脱いで行動したら死ぬから、途中戦闘があったら……」
DM「いやもちろん、そこまで覚悟した上での選択ならいいんだってこと。敵が来たら100%死ぬ場所に仲間を残さなくても帰れる方法を示唆したが、他の手段を選択したのは道中の安全性を重視した……という決断をした上でのことで、うっかり聞き漏らしてたとか勘違いしてたとかとにかく“全員で帰れる手段があるなんて思ってもいなかった”なんてーお約束の認識齟齬じゃあないんだね?」
ニイル「んんん……」
DM「どうなの?(ヒスイを見て)」
ヒスイ「いや、もう不可能だと思ってたわ……。ニイルが“持てない”って断言してたから、ダメなんだなって……。鎧を脱がせる発想が無かったわ……重量オーバーでよたよた歩ける程度なら、馬連れてきた方が速いだろうなって……」
ニイル「ということは……巻き戻す!」
DM「キャラのアイデンティティに関わる?(笑)」
アストリッド「また目がHに(笑)」
DM「今度はヘヴィ・プレートアーマーのHか(笑)」

 結局各自の鎧は全部脱がせ、身軽にした上で担いで離脱するのであった。
 最優先でカナートにレストレーションをかけて貰い……。

カナート「これ呪文なにが残ってるんでしょうか」
DM「前回、瞬殺されてるからなんにも使ってないよ」
ヒスイ「そうよ。ボロボロになったのはそもそもカナートが精神集中忘れて一瞬で沈むから! キュアが最大の攻撃力だったはずなのに!」
カナート「じゃあ二人ともキュアとレッサー・レストレーションで意識を回復させます」
アストリッド「ふぅ……いったいなにがあったっていうの?」
グラウル「死ぬかと思ったぜ……」

 というわけで、意識を失ったあとの情報共有が始まるわけだが……。続く!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 危うく「西方キャンペーン 完」となる所だったわ(笑)
 でも、こういう状況で相談相手が限られていると厳しいのも事実。2人ともよく決断してくれたわ。まあ、ニイルの瞳がHなのは、ホーリィのHと信じることにするわ。



・ヒスイ
 戦いというのは、撤退が一番難しい。
 ……そーんなレベルの話じゃないわ。
 壊滅寸前。それが現状。

 でも幸い、ここは人の支配する地。
 敵の巣くうこの廃城から離れられさえすれば、取り返しはきくわ!

 それにつけてもこんなありさまだと、出来ることと出来ないこと、自分の状態を把握することが、まず一番大変ね……。



・カナート
 前PLとバトンタッチで参戦です。
 もしかしたら、そんなプレイじゃ満足できねェぜと思われるかもしれませんが。楽しく行きましょう。早速、一気に影が薄くなったとか、人が変わったようだとかはNGワードで!(笑)
 初クレリックなので、暖かく見てもらえれば幸い。



・ニイル
 俺の善のオーラが仇となるとはな、フッ、罪な男だぜ(まったくだ
 ほんとどうしようもないよ……。

 運搬は基本装備以外のところでやるもんだと思ってたから、想定外だったし。

 ともあれDMのサポートはありつつも窮地脱出!
 ふぅ。

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター2

ヒスイ「で、隠し部屋で少女のものと思われる亡骸を見つけて……」
アストリッド「そんなことが……」
ヒスイ「でもその頃ニイルは手当もしないでボーッとしていた!」
DM「違う違う。ハルバードをどうやって持って帰るか悩んでたんだよ」
アストリッド「武器に固執して視野狭窄……どっかで似た経験があるわ……」
ヒスイ「出血多量で死にそうな仲間に囲まれる中、武器をどうやって持って帰るか悩んでいるニイル……呼んだらヒョコヒョコやってくるからもう大丈夫だと思ってたのに……」
ニイル「俺なにやってたんだっけ……もっと別のこともしてたような……」
アストリッド「してなかったんでしょ(苦笑)」
ヒスイ「で、一通り調べて回収するものはして戻ったら、息も絶え絶えなあなた達を見つけたのよ!」
ニイル「ちょっと周囲を警戒していたのさ!」
アストリッド「大丈夫なのこの人……」
カナート「大丈夫な……はずだ」
アストリッド「はずだ……?」
カナート「彼は聖衛士だ!」
 ソルカーも聖衛士でした(カウンター
ヒスイ「死んでると思って焦ったわ……酷い傷だし……」
アストリッド「…………そんな男なのね」
ニイル「いや、すまなかった! 気が動転していたようだ!」

 ケジメのために、ニイルの吊し上げが暫く続く(笑)
 当人的にもまだ慣れてないキャラだけにブレることに苦労している……ようだ。
 たしかに無理もないことではあるので、多目に見てやりたい。
 だが現状では、悪魔に武器を奪われた後の迷走ソルカーそのまんまだと評判である。

ヒスイ「これからお城に報告か、鎧の回収かどっちを先にするか……ね」
ニイル「分担した方がいいんじゃないかと思うが……まぁ報告か。二人で報告に行って……」
 他のメンバーは意識を取り戻しはしたものの、ボロッボロです。判断力4とか魅力度1とか(笑)
ヒスイ「まぁ報告先にしたいのはいいけど、いつ失くなるかもしれない鎧よりも優先しなきゃいけないっていうなら、すればいいわ。幽霊の方は弔って遺品も持ち帰ってるんだから、対応を急ぐ必要は無いけどね」
カナート「ここは報告を優先すべきでしょう」
ニイル「まぁ分担してもいいかなと」
DM「(今初めて言うことじゃないけど)冒険中はともかく、街にいるときは能力値が極限まで低下してるキャラが普段どおりに動けるとは思わないでね(笑)」
 つまりまぁ、戦闘中に“魅力が1まで低下して自我が殆ど無いから自律行動禁止”や“知力が5になったから賢く動いちゃダメだよ”や“耐久力が2だから衰弱しきって動き回れないよ”なんてことは言わないが、ロールプレイパートではその辺の影響を無視しないようにってーことです。もちろん、能力値ダメージではなく元々知力や判断力が低いキャラに対して「お前のキャラはバカなんだから賢い意見禁止!」なんてやらないのは、御存知の通り。……シアンは真面目に考えてああだったんだよ!!
グラウル「同時進行は無理ってことか」
ニイル「じゃあ、回収に行こう!」
カナート「だが子爵様への報告というものをあまり疎かにできるものでもないと思う」
ニイル「ただ、結局それは所詮人の為政者に対する礼儀であって、早く報告しなきゃダメってこともないから、鎧をササッと取りに行く方がいいんじゃないか?」
 
ヒスイ「あたしはそう思う。さっきからそう言ってる。別に鎧が要らないっていうなら報告に行けばいいわ」
 ヒスイさん、敏捷度2。身体が麻痺して動けなくなる寸前(笑)
ニイル「じゃあ鎧を取りに行くことに賛成の者は挙手を」
 グラウル、ニイル、ヒスイが挙手。
ニイル「で、回収に向かえるのは、アストリッドは無理として……」
ヒスイ「あたしも敏捷度が無いからダメね」
 射撃武器は敏捷度依存。そして現在の敏捷度ボーナス-4。つまりほとんど平目。
DM「というわけで先程から勇ましかったヒスイさんですが、実際に回収へ向かってなにかあった場合に危険なのは自分以外です(笑)」
ヒスイ「……(目を逸らす)」
DM「ろくに回復してない上に人数減った状態で敵地近くまで戻るわけだけど……」
ニイル「俺はまぁ礼儀的にさっさと報告してもいいと思うんだけどな……」
ヒスイ「それが鎧を失うリスクを犯しても優先したいっていうんだったら……」
ニイル「いやいやだから同時進行で……ってことなんだが、ボロボロなアストリッドとヒスイだけ行かせるのもなぁって話だし……」
アストリッド「…………(苛々)」
カナート「やはり報告は全員揃ってる方がいいだろう」
ニイル「じゃあ二人は宿屋で休んで貰ってよう」

 こうしてカナート、グラウル、ニイルの3人は鎧を隠したポイントまで馬を走らせるのであった。

 
 そして鎧を着込もうとしている最中に襲われた!
DM「全員視認判定で……作業集中してて-5乗るから、こりゃ不意討されるな」
 センサー役たるヒスイが不在ですしな。
ニイル「なんかきた!!」
DM「これが四方に合計4体」
ヒスイ「だからあれほどディテクト・アンデッドをしなさいと……言ってないけど(笑)」
アストリッド「言ってないわね(笑)」
DM「ただひたすらに“鎧を回収しに行きなさい。あんたらがバカじゃないなら”と言ってただけだな(笑)」
ヒスイ「バカはヒスイでした!! ……ごめんね」
DM「まぁでも“敵と遭遇する危険”を根拠とする反対意見は誰からも出てなかったんだから、しょうがないよ。礼儀の優先云々だけで。ニイルも回収に積極的な賛成をしてたしな」
ヒスイ「討って出てくるなんて……甘く見てたわ」
DM「フラグだ(笑)」
ニイル「“甘く見ていた!”で自分は宿屋でぷっか〜ですけどね!(笑)」
アストリッド「煙草吸ってるの!?」
ヒスイ「吸ってません!」
グラウル「マリファナか?」
アストリッド「なお悪いわよ!(笑)」
DM「というわけでズイっと出てきたアンデッド〜は不意打ちでニイルにマジック・ミサイルがシュパパパッと合計8本飛んでくるぞ。各2本だ」
ニイル「なんだって!? イタタタタタ!!」
DM「で、31ダメージ」
ニイル「ぶーっ! なんじゃい31ダメージって!」
DM「というわけでイニシアチヴだ」
ニイル「7……」
カナート「11……ヤバーい」
DM「……遅っ!! まぁ知識ロールだけは振っておいてくれ」

 不意打ち+イニシアチヴが遅い場合、下手すると敵に2回連続で手番が回ることになるぜ! 続く!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 う〜ん。リーダー不在の意見交換は決断が鈍るから困るわね……。といっても、軒並み能力値が下がっている現状なので私は聞くばかり。何とも歯がゆいわ。
 まさか敵が討って出てくるとは!
 3人とも、何とか生き残って頂戴……。



・ヒスイ
 今でもぎりぎりのこの状態で、鎧や装備を失っては任務の完遂が非常に困難になる。
 つまり、今困っている人々を救うことも、私達の目的を果たすことも……この旅すら断念しなくてはならない。
 そんな焦りが、さらなる失敗を、皆を危険にさらすことになってしまった。
 ほんとはあたしも一緒に行くつもりだった……ってのが、もう自分に呆れるわ。

 お願い、皆、無事に帰ってきて……!



・カナート
 この消耗で戻るのは……くらいには思っていたけど、まさかココまでガチアンブッシュされるとは予想できてなかったので、ヒスイのことはどうこう言えないんだぜ。
 初戦にして大ピンチ。特に鎧半着衣のニイルが! 絵面想像するとカッコ悪い!



・ニイル
 無事生還して和やかな空気が流れたと思いきや、戦闘開始と共に超ピンチ。
 1ターンで30ダメージって半分近く削られてるよ!

 イニシアチヴは遅いし、助けてかみさま!

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター3

 
DM「さすが博学カナート。高いね、知識ロール。このマイナーなのを知ってたぞ。これは竜側のリッチであるクルセウスの……とまぁ傭兵隊のレポで出てたあれと同系統のアンデッドで、クルセウスズ・ガードと呼ばれているスケルトンの上位種だ。マジック・ミサイルを使うのは知っての通りで、ブリンクでもかかってるのかその姿はブレている。脅威度は3だ」
 というわけで包囲されるパーティー……というかニイル。
 4体いたって数的には同数なので、脆い後衛が留守番していることが幸いして然程致命的ではないのだが……(まぁいたらいたでアストリッドの攻撃呪文で大半は焼き払えるが)。
 それはコンディションが万全だった場合である。
カナート「もう呪文がほとんど残ってないから回復が……!!」
 そう。地下通路からの撤退時点では丸々呪文を残していたカナートだったのだが、その後の回復作業で使い尽くしていたのだ。ただし、それですら本来なら一度の戦闘による消耗程度で枯渇などしない。時間にゆとりがある状態でのHP回復にはヴィゴー(1ラウンドに1点ずつ、11点回復する)のワンドを使い、自前は温存するのが鉄則だから。だが今回は貧乏もあるが、そもそも“このあと街を出る”という意識がその時点でパーティーに皆無だったので、どうせもう必要ないからと自前スロット大盤振る舞いしてしまっていたのだ。
 ニイルはロングソードで斬りまくられて無視できないダメージを被る。一つ一つは小さいが、着替え中という体勢の不備を突かれてほとんど回避不能なのが辛い。
カナート「こうなったらこれしかない! ターン・アンデッド! 散りなさい!!」
 これで2体成功するのだが……。
グラウル「とにかく攻撃します!」
ヒスイ「ロールプレイしようよ〜」
グラウル「ロングソードで攻撃します! 16まで命中、ブリンクのミスチャンスも通した。4ダメージ」
DM「(それロールプレイ!?)……ダメージ半減した。スケルトンだから斬撃効き難い」
ニイル「俺は今どうなってるんだ!? なにができるの!?」
DM「わざわざ着替えの最中を狙ってるんで、体勢崩れた状態だね。ついでに足場不安定だから立ちすくみ」
ニイル「腰から武器をぉぉぉ!」
DM「足元にあるんじゃないのか。プレートアーマーへ着替え中にそんなの腰に挿してられるか(笑)」
ニイル「拾うと……?」
DM「機会攻撃くるね」
ニイル「タコ殴りじゃないですかぁぁぁ! じゃ、じゃあ攻防一体!!」
DM「立ちすくみ中は回避ボーナス乗らない」
ニイル「で、出来ることがねええええ!!」
カナート「多少なりとも回復呪文を使うべきだったか……!」
キートン山田「それこそジリ貧である」

 
DM「クルセウスズ・ガードは2体がターンされて逃走するけど、増援で2体がさらに現れる。そしてやはりマジック・ミサイルをニイルへと4発シュパパパッ。既に取り付いてる2体はロングソードで攻撃して4ダメージと7ダメージだ」
ニイル「それで死んだ……」
カナート「くっ……ニイル! 聖印を掲げてターン・アンデッドだ!!」
DM「それでまた2体がターンかな……」
グラウル「ブレイズ・オヴ・ファイアーを発動して斬りかかる……が、ファンブル」
DM「これで聖騎士に準ずる存在を殺して敵は満足したのか、ターンで逃走する奴とともに健在な奴も撤退する。これ以上増援がないとするなら……」
ヒスイ「ターン・アンデッドで逃げた奴が帰ってくるのは19ラウンド後くらいね。10ラウンド逃げて10ラウンドかけて戻ってくるから。ま、その他の要因も絡むから、相手次第だわ」
カナート「いざとなったら自分にサンクチュアリをかけて馬に乗って離脱を……」
DM「馬はサンクチュアリの対象外だから、敵に追いつかれた状態でそれやったら馬にマジック・ミサイルの弾幕が殺到して一瞬で殺されるかもしれんぞ(笑)」
ヒスイ「むしろサンクチュアリをニイルにかけるって手もあったかも知れないわね」
DM「たしかにそれがベストだったかもね。その間にターン・アンデッド連打してれば……」
カナート「そうか……ニイルにサンクチュアリをかければよかったのか……」
ヒスイ「まぁ相手の意志セーヴの結果次第ではあったけど……手堅くはあったわね」
グラウル「ヘイストをかけて撤退しよう」
カナート「とにかく荷物を馬に積めるだけ積もう」

 そんなこんなで神の威光に命を救われ、辛うじて全滅は免れて帰還する二人。
 戦勝神殿にニイルの遺体を預け、アストリッド達の待つ宿屋へ向かう。

カナート「アストリッドは今どんな状態ですか?(DMに向かって)」
DM「俺に聞くと“半裸でオナニー中”という返答が……」
ニイル「同室がいるのに!?」
 
DM「布団の中で“ダメっ……ヒスイに聞こえちゃう……っ”と」
アストリッド「えええ(笑)」
カナート「そうだとしたら“あ、すまない……”と(笑)」
アストリッド「なに察してるのよ!(笑)」
カナート「そうだな……君も女の子だもんな……」
グラウル「なに納得してるんだ!?(笑)」
アストリッド「なにこれ!?(笑)」
グラウル「アストリッドは身体が思うように動かないとさっき言ってたな」
アストリッド「そうよ。ほとんどのパラメータにダメージ受けてるもの。しかも判断力が4という、どっかの誰かさんのように……」
グラウル「まぁ意識があるなら話を聞くことはできるだろう……」
カナート「じゃあ部屋に入って……ヒスイ、それとアストリッドはそのままで聞いてくれ」
アストリッド「どうしたの?」
カナート「ニイルが……ニイルが……」
アストリッド「ニイルが……?」
グラウル「ニイルがやられてしまった」
アストリッド「“やられた”って、もっと具体的に」
カナート「鎧の回収には成功したんだが、あの現場には……」
ヒスイ「まず結論から言いなさいよ!」
アストリッド「そうよ。回りくどい」
DM「叡智神の信者の癖か。順序立てて説明しようとして回りくどい(笑)」
カナート「ニイルは……奴らの尖兵と戦い……ええと……その……」
アストリッド「……だから結論を!!(苛々)」
グラウル「鎧を着ている最中に襲われ……」
アストリッド「二人同時に喋ってるわよ!?(苦笑)」
グラウル「クルセウスズ・ガードという連中……」
カナート「いや、私が説明しよう」
グラウル「そうか」

 全員苦笑い。倒れこむグラウルのプレイヤー(笑)
 ちなみにニイルのプレイヤーはリアルに寝転がっている。死んでからずっと。続く!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 ニイルが!
 ……いや、具体的にはどういうことなのよ?
 報告はまずは結論から。もう、歯がゆいのはこっちのほうだったわ(笑)
 ところで、カナートはプレイヤー交代したんじゃないの? エロさは引き継がなくていいのよ。それに、ベッドで普通に寝てただけだからね!



・ヒスイ
 クルセウスズ・ガード!
 敵が能動的にあたしたちを狙ってくることに思い至らなかったなんて……。
 それも、これだけの組織だった襲撃を。
 でも、全員揃っていれば、一日待っていれば、どうとでもなった。

 戦い方そのものはもはや関係ないわ。
 行ってしまったことがすべての敗因。
 仲間を失うことになったのは、当然の結果ね……。



・カナート
 ターン・アンデッド! ターン・アンデッドが良い!
 効果は抜群だが、ニイルを護るには至らなかった……。うーん、呪文の臨機応変は勉強していかないとなぁ。経験が一番だけど。

 アストリッドがこんな状況だからこそ……は違うとして。インテリ的にサラッと説明したいところ。



・ニイル
 死んだ……。

 成す術なかったよー!
 そういう意味では戦いを挑む前から負けていたということか……。

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター4

ヒスイ「ま、まぁわかったわ。鎧を回収しに行ったら敵と遭って、ニイルが死んだ。そーいうことね」
カナート「そうだ……」
アストリッド「なんですって……」
ヒスイ「なんてこと……あたしの認識が……」
カナート「鎧は回収することができたが、彼が死んでしまっては……。彼の遺体は今戦勝神殿に預かってもらっている……」
ヒスイ「そ、そう……あたしのせい……」
カナート「いや、私が一緒にいながらみすみす死なせてしまった……」
アストリッド「判断力4だから……そうなの……って返すくらいかしらねぇ……」
DM「強く主張してたのはたしかにヒスイだけど、“敵と戦うこと”を誰一人まったく想定してなかったのは、完全にパーティーの責任であって、個人に罪は無かろう。トアスも言ってたように“パーティーの決断”の結果なのさ」
 もちろん、だからって“あたしは悪くないわよ!”なんてならないからこそだが(笑)
カナート「彼を救うことはできないだろうか……」
ヒスイ「また蘇生してもらうのに一週間……」
アストリッド「それ以前にそんなお金は私たちに……仕送りどころじゃないわ……」
グラウル「一日休むことを提案するべきだったか……」
ヒスイ「採るべき道は……蘇生させるか……ニイル抜きで任務を続けるか……」
アストリッド「そうね……」
ヒスイ「蘇生するとしても、“もう一週間待って欲しい“と……一週間また被害が出るのを承知で……」
アストリッド「そもそもその選択肢が存在してるかどうかの話よ……お金が……」
ヒスイ「難しいわね……アイテムを売ればお金は作れるのよ……他のキャンペーンみたいに装備売り払って続けるのか……」
DM「ヒスイはもう処女売れないしな……無いから」
ヒスイ「なに言ってるのよ!?」
カナート「だがみすみす彼を見捨てるなど出来ない……出来ません……出来ません」
DM「三度言った!?」
カナート「語尾調節です(笑)」
アストリッド「ただでさえお金がなくなって戦力が低下したのを覚悟して行かなければならなかったところを、まさかさらに……っていうのはホント困るわね……」
カナート「まぁやはり彼の遺体を預かっていて貰い、その間に我々で任務を果たすしかないでしょう」
ヒスイ「その選択肢はプレイヤー的には“じゃあ君休んでて”ってなるけど……(苦笑)」
DM「まぁそれがあるから、傭兵隊はスカウト(笑)を無理矢理蘇生させたんだよねぇ。後でそのキャラの性格と辻褄が合わない不自然さにブレイズとルカは大後悔時代だったけど」
カナート「ならば誰か協力者を募って……」
アストリッド「そんな都合のいいことが……」
イオ「お困りのようね!!」
DM「……とはならないな(笑)」
シアン「お困りのようですね!!」
アストリッド「困ってるのはそっちでしょう!(笑)」
シアン「なぜかヴィーリオンにいられなくなってしまったので、バーンに来てみました!」
カナート「その内バーンにもいられなくなるな(笑)」
アストリッド「入ってこないでちょうだい、会話に(笑)」
ヒスイ「あとは……お姫様の遺体を届ければ報奨金がもらえてそれでどうにか……なんてこともあるかもしれないわね……。まぁキャラクターにはそんな打算的思考させたくないけど(苦笑)」
アストリッド「そういうこともあるかもしれないわね…………そうね。問題は先延ばしになるけど、まずは出来ることをするだけしてみましょう」
カナート「ああ。たしかに打算的ではあるが……」
DM「まぁ落ち着け。さっきのヒスイの発言はプレイヤー発言だ(笑)」
アストリッド「あ、ついアストリッドで返事を。まぁそもそも判断力低いからそんな流暢にしゃべっちゃ駄目なのよね。加減が難しいわ(笑)」
カナート「わかった。アストリッドは休んでてくれ。君は回復に専念するんだ」
ヒスイ「失敗に等しいのよね。あと一週間待ってくださいなんてのは」
カナート「正直、蘇生は待てないでしょう……」

 とまぁ、“姫の遺体回収のご褒美はとても期待が持てる要素だが、キャラ的にはそんな打算を口に出させたくない”というジレンマに苦しむ善のパーティー(笑)
 DMとしてもその辛さはとてもよく伝わったので……。

DM「どの道報告は必要なんだから、不自然じゃないって。ゴーゴゴー(笑)」

 敏捷度2でフラフラと歩くヒスイに肩を貸して登城する。

カナート「子爵様、此度はご報告したいことが……」
ビアーム「ニイルが戦死したそうだな」
DM「既に神殿の方から連絡は来てると思いねい」
カナート「ハッ……。敵の尖兵の手に落ち、このような事態になってしまいました……」
ビアーム「どのような事態だ?」
カナート「ハッ……命を落としてしまいました……」
ビアーム「それはわかっておる」
カナート「ちょっちょっと……」
アストリッド「がんばれ(笑)」
カナート「タイム(笑)」

 しばらく考え込むカナートのプレイヤー(笑)

カナート「彼を欠いてしまいましたが、我々は四人で任務を続行するつも……」
ビアーム「そうではないであろう。なぜ“そのような事態”に陥ったかの説明を求めているのだが?」
カナート「ハッ……クランドゥス城での戦いにおいて手痛いダメージを受けてしまい、途中で荷物を置いて撤退せざるをえないことになりまして。その荷物を再度機会をはかって回収しに向かったところ、敵の尖兵に待伏され彼は……」
ビアーム「なるほど……詳しい戦いの経過はどのようなものだ」
カナート「林の中に装備を隠していたのですが、それを回収しようとしたところ、奴等は四方からマジック・ミサイルによりニイルを狙い撃ちし、そのまま押し切られるカタチに……神の力を借りて対抗したのですが、力及ばず……」
ビアーム「なるほど……極めて強力な戦力で待ち構えていたというのか……」
カナート「……そう、聞こえちゃいますよね」
ヒスイ「だって格好悪いシーン全部カットしてるもの(苦笑)」
ビアーム「敵の戦力は思いのほか強力、か……」
ヒスイ「いえ、コンディションが万全ではなく、あたしとアストリッドが同行できなかったのが大きかったのだと思います……」
ビアーム「なんだと? 同行できなかった?」
 
カナート「彼女たちは邪悪なる力によって心身を著しく消耗してしまっており……」
ビアーム「それはそのようだな……(必死に虚勢を張るヒスイを見つつ)」
カナート「現状の我々では彼女たちを即座に癒すことができなかったのです」
ビアーム「お前たちは全員が健在な状態であの城に赴き、その上で撤退を余儀なくされたにも関わらず、なぜ著しく戦力が低下した状態で再び戻るようなことをしたのだ?」
カナート「ええ……」
ビアーム「たしかに戦場に於いても、撤退の際にやむを得ず重装備を棄てて速度を優先することはある。そしてそれを惜しむ気持ちも当然あるが……それを戦力の回復も待たずに回収しに戻るのはあまりにも無謀ではないのか?」
カナート「その通りです……ですがニイルのパス・ウィズアウト・トレイスの呪文により、追跡に於いては万全を期していたので……これほど早く待ち伏せされているとは……」
 その呪文では消せない、善の残留オーラ。
ビアーム「追跡欺瞞には成功していたとしても、仮に奴等に城の周囲を監視するという知性があるとしたら、お前たちが街から近付いてくるというのは容易に観測できるのではないのか?」
カナート「たしかにその通りであります……」
ビアーム「して、現状ではまだそういった知性を持った敵の存在は確認されてはいなかったのか?」
カナート「いえ……奴等の中にはガウスが混ざっていることが……」
DM「ガストだよ」
 ガストは知力13、判断力14です。
カナート「ああ、そうか。ええとガウスが……」
ニイル「ガウス超怖いよ!!」
グラウル「ガウスがいたら益々ヤバいな……」
ヒスイ「トラウマが……(笑)」

 繰り返しギャグなのか!?(笑) 続く!!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 カナート頑張って頂戴!
 事実を歪曲してもいいことなんて何もないのよ……。都合の悪いところをカットする気持ちも分かるけど。
 実際、依頼主への報告は大変よね。健闘を祈っているわ。知識がないから作法は間違っているかもしれないけど……。



・ヒスイ
 子爵様のおっしゃることはもっとも。
 人や竜の眷属が相手なら、きっとあたしもこんな甘い目算では動かなかった。
 死肉喰らい、この世に未練を残した哀れな存在……たいしたことは出来ないと、いつの間にか彼らを見下していたのね。



・カナート
 インテリ、的に、サラッと、説明したいところ!
 ヒスイのフォローでバランスが取れて助かったよ……。ガウスは、居ないよ!?
 語尾はウッカリ勢いに任せちゃったりするので頑張りたい(笑)
 次元を超えた熱い展開? はいつか(笑)



・ニイル
 死人です。いやプレイヤー発言はしていましたが。

 赤き森から引き続いてのプレイで地味に初死亡。
 仲間たちが自分の蘇生の算段を考えている姿はなんかこう、言いようのない気持ちになるぜ。

 仲間にとって、ニイルは人間的にもパーティメンバー的にも蘇生に値する……はずだ!
 装備関連でいろいろあったけれども。

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター5

カナート「いやいやガストでした! ガストがいるのは確認しておりました!」
ニイル「グラウル(の中の人)はガウスの恐ろしさを味わったことありましたっけ?」
グラウル「あるよ」
ヒスイ「廃城に巣食ってるだけのアンデッドなら出てこないでしょうけど……」
カナート「あの廃城にはガストが……ガストですよね!?」
DM「うん(笑)」
カナート「ガストが……巣食っていることを確認しております」
ビアーム「そうか……」
ヒスイ「たしかに廃城に巣食っているだけのアンデッドなら、それ(追撃や待ち伏せ)は不可能でありましょうが……もしガイオラが絡んでいるのであれば、高い統制が取られていてもおかしくはないですわ……」
ビアーム「いや、そうではないぞヒスイよ。籠城側が討って出てこないなどと思い込むのは非常に危険なことだ」
ヒスイ「痛感しております……」
ビアーム「常に逆撃を加えるべく機会を伺っていると、警戒すべきなのだ……。“そのようなことある筈がない”という都合の良い思い込みこそが、敗北を生み出すのだ」
カナート「申し訳ありません……」
ヒスイ「城のアンデッドってイメージ的に……」
ニイル「城から離れないっていう(笑)」
ヒスイ「行ったら怖いけど、行かなければ大丈夫だろうっていう……凄い甘いイメージだった(苦笑)」
DM「まぁそのイメージは決して的はずれでないだけに……(笑)」
カナート「まさかとなると、致命的と……」
 
DM「ただのスケルトンと思ってたら違いました。死にましたって奴だよ」
ヒスイ「裏にクルセウスがいるようなアンデッド集団なら、もはやなにをしてきてもおかしくないわ……」
DM「クルセウスはともかく、単なる自然発生ではなくガイオラ絡みであることは最初に目星付いてたんじゃないのか。まぁ特に誰かの部下ではないアンデッドでも、狡猾に人を襲いさまよう奴はいるわけだけど」
ヒスイ「ガストと、ゴーストと、クルセウスズ・ガード……」
カナート「思い返してみれば、奴等はまさに統率された集団で、我々を襲撃してきたのもクルセウスズ・ガードでした」
DM「子爵は側近に質問してるね」
ビアーム「ほう……クルセウスの名は聞いたことがあるが、そのようなものを率いていたとはな。それが討って出てきたということは、お主達が容易く全滅させれる程の存在ではなく、積極的な排除をする必要があると認めたからとも考えられるな」
カナート「あの廃城は再び要塞と化してしまいましたか……」
ビアーム「そういうことだ。隙を突けた今までよりもさらに厳しくなるかもしれんな。アンデッドというのは、その予備戦力に対する予想が立てづらいのが実にたちが悪いのだ。補給を断ったところ生者ほど困らぬからな」
アストリッド「たしかに……」
ビアーム「周辺の領民を襲い、補給されてはかなわぬ」
カナート「まさしく……まだそのような被害が出ていなければよいのですが……」
ビアーム「して、現在の進捗状況はどうなっている?」
カナート「ハッ。一点報告したいことがございまして……こちらでございます」
ヒスイ「これは地下通路を探索中に、若い女性の霊と遭遇し……」
DM「犯人はフォルカー!」
グラウル「たしかにこっちの戦争に兵士として参加してたから、可能性はなくはないが(笑) しかし攻城呪文で吹き飛ばしたはずでは」
ヒスイ「わかんないわよ。掃討戦で皆殺しにしたかも知れないわ(笑)」
グラウル「そうかぁ……フォルカーってたくさん人殺してたんだなぁ……」
DM「大旋風で」
グラウル「そういった過去もちゃんと認識しなきゃな」
ヒスイ「……若い女性の霊がおり、バーンをとても憎んでいる様子でした。その霊を……一時的に払い……違うわね(苦笑)」
 実際には少女のほうが的確ではある。
DM「容赦なく完膚なきまでに叩き飲めし?(笑)」
ヒスイ「我々を襲ってきた霊を撃退し、その周辺を調べたところ、隠し部屋を見つけ」
ビアーム「ほう……地下通路に隠し部屋か。たしかに籠城の備えとしてはよくあるものだな」
ヒスイ「その扉の奥に、その霊と同じ服装をした亡骸を見つけました。おそらくは……」
ビアーム「地下通路に逃げ込んだ者の……」
ヒスイ「ストナー男爵に縁があるものかと……?」
ビアーム「……いやかまわぬ、続けろ」
ヒスイ「す、すいません……。ストナー男爵縁のものでないかと……その遺品をお持ちしました」
DM「で、まぁ衣服はボロボロだけど、装飾品や魔法のケープは回収出来ているわけだな」
カナート「じゃあそれらの副葬品を侍従に方に……」
DM「副葬品じゃないっての(笑)」
ヒスイ「ああ、普通に着ていたものよね(笑)」
グラウル「装飾品だからなぁ……(笑)」
DM「別に埋葬されてたわけじゃない(笑)」
ビアーム「それはエアトナの……そうか……地下通路内の隠し部屋の中でそのまま……か」
DM「と呟くと、暫く沈黙し……」
ビアーム「さぞや苦しかったろう……」
カナート「心中お察しいいたします」
ヒスイ「哀しそうな……幽霊だった……」
ビアーム「恐らく半ば生き埋め状態であった上に、仮に脱出の余地があったとしても……独りでそれを行えるほど気丈な娘ではなかった……それがこのような最期を……襲ってきたのは、その怨みがつのったゆえか……」
DM「とても辛そうに独白する」
家臣「閣下!!」
ビアーム「いやすまなかった……情けないところを見せたな」
カナート「そのようなことはございません!」
ヒスイ「あそこにいるよりは、ここに移した方が彼女の心も休まるでしょう」
ビアーム「……よくぞ持ち帰ってくれた。その功績に対する褒美だ。ニイルの蘇生は安心して構わぬぞ」
カナート「ありがとうございます……!」
ヒスイ「感謝いたします!」
 
ビアーム「エアトナは我が侯爵領でもっとも可憐であると讃えられていたほどの美姫でな。我が君サーディトゥ侯爵様もとても目にかけおられたのだ。となれば以前ほど時間を掛けることなく儀式を優先してもらえるはずであるし……そもそも私が余計な口添えなどせぬとも、この功績を報告するだけで、侯爵様の方から蘇生の手配を申し出てくれるに違いない」
ヒスイ「必ずや一刻も早くこの事態を終結させます!!」
ビアーム「うむ。ご苦労であった。今後のことは追って沙汰するゆえ、今日はゆっくりと休むがよい」
DM「と言いつつヒスイに近づき、頭を撫でる」
ビアーム「このような体になってまで姫の亡骸を持ち帰ったこと、感謝する……」
ヒスイ「滅相もない!!」
DM「まぁ子供扱いされてるから優しい、という感じでもあるが(笑)」

 全員爆笑。

DM「天才なんだぞ! 先生だぞ!」
ヒスイ「ど、どうリアクションしてやろうかしら(笑)」
DM「まぁ見た目通りの年齢でも実年齢でも、子爵からしたら子供ではあるが(笑)」
ヒスイ「でもこれ明らかに22に対する扱いじゃない!(笑)」
グラウル「22歳……!?」
 忘れてたのかグラウル。なんだその新鮮なリアクションは(笑)
ヒスイ「“子供扱いすんなペシッ!”と払ったり……」
カナート「それはインターセプトするぞ(笑)」
アストリッド「交渉技能高いのよね(笑)」
ヒスイ「もちろん(笑)」
アストリッド「ならそこはわきまえるんでは(笑)」
ヒスイ「でもそれことれとは話が別だわ!(笑)」
カナート「まぁエドが“小さいって言うな!”みたいなものですね(笑)」
ヒスイ「この子爵さまはいつも子供扱いする……と思いつつも、空気読みますよ、ええ(笑)」
ビアーム「話は戻るが……。知っているかもしれんが、こういった亡霊は例え弔おうともそうなる原因となった無念の元を取り去らなければ、浄化することはできぬのだ」
ヒスイ「無念を……」
カナート「カナートはそれ知ってるんですかね?」
DM「知識ロールで届いてなかったから知らないね。なぜか以前ヒスイが“未練があって縛られてる存在だと思うから”と、知識無いのに喋ってたのは完全にプレイヤー知識をポロリだった(笑)」
 罰としてポロリ絵はどこですか。
DM「まぁヒスイは“え、そうなの?”って感じで、カナートは“お前話が違うじゃん?”ってことになるのか(笑)」
ヒスイ「連れ帰ってくるだけでは……駄目ですか」
ビアーム「しかしこの場合“無念”とは、バーン帝国の打倒……とはいかなくともこの侯爵領が以前のような……」
ヒスイ「バーンからの独立を……とか」
ビアーム「……つまり、ほぼ不可能だ」
アストリッド「デカい!」
カナート「たしかに……」
ビアーム「お前たちの話ではバーンへの怨みを口にしていた……となるとやはりな」
ヒスイ「バーンが憎いのをどう晴らせばいいのかしら……」
カナート「私に力があれば……」
ヒスイ「なにをする気よ!?(笑)」
ニイル「きょーせーじょーぶつーっ!!」
ヒスイ「なんとかならないのですか? あまりにも可哀想です……」
ビアーム「この国はバーンに支配された今でも、安寧を保っている……そう伝えることができれば或いわ……むしのいい希望的観測だがね。だがそれですら、そんなこととても言えるような現状ではない」
ヒスイ「地下通路から出しただけじゃダメかぁ……」
DM「暗いよ狭いよ怖いよが無念だったんなら(笑)」
ヒスイ「せめてお父さんとかが……死んでるよってのね……」
カナート「我々がバーン人である限り、彼女の無念は晴らせないのかも知れません……なんとかしてあげたいのですが……」
ビアーム「今ある情報だけでは、お前たちができることでなにか現実的な手段があるとも思えん。ここから先は私達為政者の仕事だ。バーンに降ってもなお、民達は幸せにしている……それに対する責任は私が負うべきことだからな」
ヒスイ「必ずやその一助となるよう……ネズミの件は、なんとかしてみせます!」
DM「間違ってないんだけど間抜けな響きになってしまうな(笑)」
ヒスイ「目の前の問題はなんとか!(笑)」
カナート「我々は任務に邁進したいと思います!」

 というわけで“計画通り!!”と書くと聞こえは悪いが、期待通り蘇生の都合がついてホッと胸を撫で下ろすパーティー。
 俺はそれぞれの手でアストリッドの巨乳とヒスイの貧乳を撫で回したい。続く!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 ニイルの蘇生が叶って良かったわ!
 それにしても見た目は子供、中身は大人。美味しいわね、ヒスイ(笑)
 ふう、幽霊と言っても色々あるものね。宗教を勉強しなかったツケは大きいわ。でも今は目の前の問題を解決しなければ。
 あ、胸を撫で下ろすのは自分だけにしてください!



・ヒスイ
 ガイオラの策略……たしかにそう予想していたはずなのに。
 やつらは罠を利用し、巧みに動き回っていたのに。
 あたしは、うまくいかない焦りで、それを見なかったふりをしていたのね。

 死んでもなお、この世に縛られないといけない。
 人の想いはそれほど強いのね。
 それとも、これもガイオラの……?



・カナート
 その城に入ったものは、誰も帰ってこなかったのです……レベルじゃなかった!
 確かに、油断だったなあ。そして、領民を襲い出す可能性も否定できないわけで。
 いよいよネズミだけという話じゃなくなってきたぜ。
 ゴーストの子は救ってあげたいが、うーん。
 ともかく、ニイルを助けられて良かった。



・ニイル
 倒して弔いを済ませれば終わり、とはいかなかったのか……。
 ここは戦勝神の信徒たる自分が!と言いたい所だが、そもそも知識ロールがあれだったからなぁ。

 ともあれ、まずは復活のアテがついてことを喜ぼう。

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター6

DM「蘇生がロハなだけでも大収入だな」
ヒスイ「計画ではこの報酬で買物するつもりだったのに……(笑)」
DM「計画ではここで“よくぞやってくれた”と褒美が貰えるはずだったんですよ(笑)」
ヒスイ「金一封が(笑)」
DM「そのはずだったんだけどねぇ……」
ヒスイ「この蘇生優遇は銀貨にしたら10000枚くらいの価値があるわ……」
DM「というわけでファントム・スティードまで用意され、一番確実であろうと君たち自身が護衛しての蘇生行になる。で、儀式の間手持ち無沙汰に待っていると、サーディトゥ侯爵から書状が。中身は今回の件に対する感状だ」
ヒスイ「これで遅々として進んでない進捗状況に対する風当たりは和らいでくれるかしら(笑)」
DM「少なくとも貴族には面目が立ったね(笑)」

 というわけで再び攻略開始。
 今度はゴーストを避けてもう片方の道へ。

ヒスイ「この先はどんな感じになってるのかしら?」
DM「こうなってます」
ニイル「また狭くなってるぅぅぅぅぅぅ!!」
DM「広い方がいい狭い方は嫌だで君たちが議論してる時、俺は内心爆笑してました(笑)」
アストリッド「どっちも狭いですよ〜と(笑)」
ニイル「だが今回はリーチウェポンじゃない!」
ヒスイ「結局どっちも一緒ってことじゃない」
グラウル「(ニイルを見ながら)ハルバードっていい武器なんだなぁ」
 ロング・ハルバードから通常のハルバードに変更です。
ニイル「何をいまさらおっしゃる(笑)」
カナート「何をおっしゃるウサギさん」
グラウル「斬撃と刺突で使えるのか」
ヒスイ「未知の曲がり角か……防御呪文かけましょう。シールド・オヴ・フェイスが欲しいわ」
グラウル「俺は自分にシールドをかけよう」

 と、色々準備を開始する。主に前衛に防御呪文。

 
DM「じゃあ眠そうなヒスイの眠気を殺す!! 敵だ!!」

 実はこの辺りのシーンはヒスイの中の人がスゲー眠そうにしてて、話を振ってもスルーされるばかりの微妙な空気になっていた(苦笑)

ニイル「え、これ前の人じゃないよね?」
グラウル「違う」
ニイル「違う人?」
DM「さぁ接触攻撃しよう……だがハズレ! イニシアチヴ!」
ニイル「アストリッドは幾つ?」
DM「えーと……93」
アストリッド「上から!?」
ニイル「93で次は?(笑)」
アストリッド「そこは60と言わせて!(笑) なんだかわからないけど!」


DM「でまぁ、カナートが早いのだが……ヒスイの手番が来るまではまだなにも状況がわからないので、ヒスイより早い敵の番だ」

 
DM「ズボっと壁を突き破って二匹目が最後尾を襲おう」
ニイル「もう一匹か!!」
グラウル「カナート立ちすくみか」
カナート「まぁ当然当たるんじゃないですかね」
 そもそも敏捷度ボーナスがマイナスなので、立ちすくんだからってACが下がることはない(笑)
DM「魅力度に6ダメージ」
ニイル「なにそのダメージ!?」
アストリッド「ダメージですよね?」
DM「うん」
アストリッド「ホッ……」
 吸収だと教会に頼る以外、治療の余地無し。
DM「で、元からいた一匹はヒスイに……ハズレ。さすがにローグは当てにくい」
 非実態クリーチャーの接触攻撃は実体の鎧を透過してくるので、重装鎧に身を固めた戦士はカモなのに対し、ヒスイのように敏捷性でアーマークラスを稼いでいる軽戦士には当てにくいのですよ。鈍重な戦士を狙うには相対的に十分な命中力ながら、絶対値は低めに抑えられている場合が多いのだ。今回はそれに加えて防御呪文もかかっているため、被弾率はかなり低くなっている。
DM「ではヒット&アウェイだ。壁の中に消える」
ヒスイ「あ! ズルい!! 幽霊の癖に賢く立ち回るなんて生意気よ!」
DM「こいつら知力と判断力無い系のアンデッドじゃないからなぁ〜ってことで全員姿見えてるから、手番が来たら順次知識ロールね」
ヒスイ「知識(宗教)……気をつけて! 悪霊が出たわ!」
ニイル「あれ? どんなのかわからんかったの?」
ヒスイ「だって知識(宗教)無いもの」
ニイル「もってないのか……そういや」
ヒスイ「待機アクション、幽霊が見えたら撃つ!」
アストリッド「前回怖かったから、私は消えるわ! インヴィジビリティを……」
DM「インヴィジブゥ!! ディケイドっぽく再生してください」
ニイル「インヴィジブルはディエンドじゃ」
DM「劇場版でディケイドも使ってたんだ……そしてスーパー1達がボコボコに……ううっ……」
 まぁ声はどっちも同じですけど。
グラウル「マジック・ウェポンをニイルのハルバードに。そして知識(宗教)を……達成値9」
DM「論外だった(笑)」
グラウル「悪霊っぽい! 悪霊だ!」
DM「間違いなく悪霊だ!」
ニイル「待機アクション、寄らば斬る。知識ロールちゃー……9」
DM「低い! 当然わかるわけがない! やはり“悪霊だーっ!”となった(笑)」
カナート「今度は自分が……宗教23です」
DM「悪霊だーっ!!(笑)」
ニイル「あれ?」
DM「いやまぁカースド・スピリットってモンスターです(笑)」
ヒスイ「……悪霊だわ(笑)」
DM「意訳すりゃ悪霊みたいなもんだろう(笑) で、こいつに触られると例によって自我を奪われます」
カナート「自我!?」
DM「いやだから魅力度(笑)」
ニイル「あーあー」
DM「非実体です。まぁ見りゃわかります。あと近付かれると呪いによって弱くなります」
ニイル「具体的にどう弱くなるの?」
DM「呪いにかかって弱くなります!!」
ヒスイ「うん、そうね」
ニイル「要するに近接戦闘にはペナルティがかかると」
ヒスイ「わからないわ。なんか呪いがあるってことしか知らないってことよね。詳しいデータは実害出てから乞うご期待!」
アストリッド「期待はしていないわ(笑)」
カナート「奴らは見たまま、非実体の悪霊どもです! 近付くと呪いがかかります! そして奴に攻撃されたものは魅力が失われます。魅力が……じゃない……えーと」
 全員苦笑い。
DM「ロールプレイ目線でゲーム用語に頼らない状況説明に苦戦するカナート(笑)」
 ゲームとしての用語による説明はDMからされ、それを全員が聞いているので、キャラの口で仲間へ説明する時は雰囲気重視の言い回しが強く推奨されます(笑)
カナート「ま、まぁ自我にダメージを受けます!」
アストリッド「変わってないし!?(笑)」
DM「ここは敢えて、がんばってキメてみようか(笑)」
アストリッド「カナートをモノにするためにも(笑)」
カナート「自我が失われていきます!」
DM「もうだいぶ失われてきてるよね(笑)」
カナート「もう6も減ってるから!」
DM「というわけで、カナートを見ればそのヤバさがひと目で皆にわかります(笑)」
カナート「そう、私もダメージを受けてしまいました!(笑) サンクチュアリを防御的発動します」
ヒスイ「凄い! ちゃんと防御的発動している時点で先代クレリックを越えた!(笑)」

 
 うぜええええええええええええええええええええ!! 続く!!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 ……やはり、宗教の勉強は大事なようね(笑)
 危うく謎の敵と戦う所だったわ。
 しかし、このパーティ。聖職者=性職者なの?
 ことあるごとにセクハラ発言に乗っかって……。出会いのイメージはもう無いわよ(怒)
 でも、防御的発動はナイスだわ。



・ヒスイ
 撤退ぎりぎりのところで踏みとどまった……かしら。
 せめてここからは任務の本筋で功績を積み重ねていきたいわね。

 ……って、はやくもダメな予感!

 ちょっとインターバルで緊張が解けてしまったのね。
 この前日しっかり寝られなくて……。
 ほんとに、ごめんなさい!

 ついでに、カッセルもごめんね!



・カナート
 これで仕事を続けられるぜい。と意気揚揚……て雰囲気じゃないですが。頑張ります。
 どっちにしろ敏捷修正マイナスのカナートには荷が重たい。みるみると、ちょっと多いくらいレベルの魅力がががが。
 用語外の言い回しはいつも躓いてる気がするぞー(笑)



・ニイル
 こうして読み返すと、キャラクターがプレイヤー知識に応じたアホさになってるな。
 しかしこうした細かい所作が読み物としてのリプレイに花を添えるのだ!

 閑話休題。

 自我が削られる!
 戦闘継続にダメージの有無自体はあんまり影響を及ぼさないとはいえ、6点も持ってかれたら早々に戦闘不能になっちまうぜ!

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター7

 
DM「サンクチュアリがかかったのなら意志セーヴに成功しないと手出しができなくなるが……ダイス目18」
アストリッド「なんですってー!」
DM「ペタリ。4ダメージ」
カナート「へのへのもへじに……! 残り魅力度2!」
DM「で、もう一体は壁から飛び出てきたので、待機アクションしてた人はリアクションどうぞ」
ニイル「ハッハッハー! 出たな悪霊めーっ!!」
アストリッド「……ニイルってそんな人なの?(苦笑)」
ニイル「え? 断罪!!」
武田広「それにしてもこの“プレイヤー”、キャラを忘れてノリノリである」
 全部書くと鬱陶しいので割愛されているが、基本的にほとんどのシーンで彼はロールプレイをついうっかり忘れ、キャラがぶれまくってることを他のプレイヤーから突っ込まれまくっていた(笑)
 無論、プレイヤーが“こんなキャラです!”と断言してしまうなら、内政干渉はしないのだが。当人的にもついカッとなってブレてるのを反省しているようだ。
 そんなわけで彼に限らずアストリッド以外新キャラなので、多少のブレは優しく見守ってやってください。

 ちなみに戦闘自体は前衛に襲いかかっていたカースド・スピリットは、ニイルの魅力度に大ダメージを与えるも、その後は袋叩きにされて倒される。だがバックアタック側は例によってカナートが敢え無く自我崩壊に陥り、パーティーは撤退を余儀されるのであった。

ヒスイ「レベル7パーティーが……脅威度遥かに低い相手2体如きに……」
DM「防御呪文、カナートにはなんもかかってなかったしねぇ」
ヒスイ「全員にメイジ・アーマーをかけておくべきだったわ……」
 メイジ・アーマーの呪文は部分的なフォース・フィールドで身を守る為、非実体の接触攻撃に対しても装甲防御力を提供するのです。

 街に戻り、明日まで回復呪文待ちとなるので……。

アストリッド「今日はもう他にすることが無いなら、情報収集でもした方がいいんじゃない?」
DM「なんかヒスイが“まだ呪文が残ってるから再アタックできるわね”って顔してるよ(笑)」
 実際、例によってカナートがいきなり倒されたので彼の呪文だけは豊富です。
ヒスイ「さすがに辛いわね……魅力度2と1の人いちゃ……」
アストリッド「え、本当に再アタックなんて考えてたの!?」
ヒスイ「もどかしいとは思ってるけど」
アストリッド「そりゃ私ももどかしいけれど……」
カナート「私も……もどかしいが……(ヨボヨボ)」
アストリッド「あなたの喋りがもどかしいから黙ってて(笑)」
グラウル「まだやれそうだな……」
アストリッド「なんで“行こうか?”みたいなことになってるのよ!(笑)」
カナート「正直、厳しいな……」
グラウル「やれそうだが僕一人ではキツい」
アストリッド「行かないったら行かないわよ」
カナート「もしまたカースド・スピリットと遭遇したら……」
アストリッド「だから行かないって言ってるでしょ!?」
ヒスイ「ウザいのはしょうがないわよ。魅力低いんだから(笑)」
カナート「立ち向かぅのは厳しぃだろぅ……」
グラウル「イントネーションもおかしいことになってるな(笑)」
アストリッド「ウザい……」
ヒスイ「じゃあすることもないから情報収集に行ってくるわ! クランドゥス城とアンデッドについての!」
DM「じゃあどうやって情報収集する? 漠然と? なにか絞る?」

ヒスイ「エアトナ姫についての情報を調べるのは……もういいわね(笑)」
ニイル「それはもう終了だろう」
DM「なに? スリーサイズでも調べる? 73……」
アストリッド「ひ、貧乳!?(笑)」
カナート「身長は!?」
アストリッド「154とみた」
ニイル「西洋的に貧乳のロリっぽいのは魅力度高いのか?(笑)」
グラウル「顔が凄く可愛いんじゃないのか」
DM「神が魅力度高いって言ってるんだぜ(笑)」
ニイル「おっとそうだった。基準がリアル西洋とかじゃないなだった!(笑)」
DM「俺がフローラントだ!」
アストリッド「ガンダムみたいになっちゃった(笑)」
ヒスイ「すべてDMの価値観の上で(笑)」
DM「アストリッドが処女を失うタイミングも俺の手の平の上ですが、シアンの行動だけは手に負えません」
カナート「神ですら……(笑)」
ヒスイ「……じゃあまぁ最初は漠然と調べて、それでなにか得られたらそれに対して絞っての二段構えにするわ」
DM「じゃあ情報収集ロールを……16かい。なら街の人は、任務があるはずなのに昼間っから“なに今になってそんなことを?”“あんたらの方が詳しいだろ?”なことを聞いてくることに対して、かなりいい顔をされなかった」
ヒスイ「なんでここにいるんだって思うわよね、そりゃ。遊んでるって誤解されるわ」
DM「君らの消耗事情とか知らないからねぇ(笑)」
アストリッド「これはわざわざこっちの事情説明するのはよしたほうが……」
 
DM「スカートをたくし上げて“それでも欲しいのよ……情報が……”みたいな感じで」
ヒスイ「……まぁ目立たないようにしていましょうか」
DM「街の人が好意的なのって久しぶりだわ……って思ってたのが(苦笑)」
ニイル「だんだん冷えていく……しんしんと冷えていく……」
アストリッド「これをなにか懐かしい感じる自分が嫌だわ……」
DM「アストリッドはMだからね」
カナート「じゃあしょうがない……」
ヒスイ「もっと私を罵って!」
DM「アストリッドがMなのを見抜いてたからトアスもあんな風に弄ってたんだよ」
アストリッド「そっか……」

 ノリツッコミかと思ったらそんなことはなかったんだぜ!

DM「まぁでもイオもMだよね」
アストリッド「それマスターがSだからなんじゃ(笑)」
ヒスイ「イオはMだったの?(笑)」
DM「イオは能力値メチャクチャ高いわけじゃないか。だから子供の頃からチヤホヤされて育ってきたわけですよ。ゆえに自分が他人に屈服してあーだこーだなるのに免疫が無かったわけですよ」
 詳しい設定はキャラクターズ・オヴ・フローラント参照だ!
ヒスイ「こんな風に扱われるのなんて初めて……と(笑)」
DM「ある意味“従うことの楽さ”というか“安堵感”を知ってしまったというか(笑)」
全員「あーあーあー」
アストリッド「今まで自分でなんでもできてたのに、と(笑)」
ヒスイ「言うこと聞いていれば間違いないって環境は初めてだったわけね(笑)」
DM「打ちのめされた状況だっただけに……」
ヒスイ「この人に従っていれば……と」
カナート「調教されちゃう!」

 以下暫く脱線トークが展開されるので敵の様子でも……。

 
ちゅるやさん「みんなめがっさがんばったさっ! スモチーでお祝いさっ!」

 このシーンはイメージです(当たり前だ)。続く!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 魅力度低下がウザい喋りを招くのは、本当にウザいわね(笑)
 冷たい視線に晒される。しかし、どこか懐かしい。こんなことにノスタルジックを感じたくなかったわ。
 でも、どうやら自分はMらしい。これはこれで嬉しいのかしら?
 ううん、自分でも何を言っているのかわからないわ……。



・ヒスイ
 やっぱりダメだったわ!
 ほかには害はないようだけど……あっというまにまるで魂が抜けたようなありさま。 ほんと、これはやっかいだわ。

 今更の聞き込みは、藪蛇だったかしら……。
 いえ、必要な情報と対象者を絞り込んでの聞き込みならまだしも、広く浅く闇雲に、じゃあそうそう新発見になんて巡り会えるものではないわ。
 当然の結果、ね。



・カナート
 悔しい撤退。初撃が痛かった。アストリッドのツッコミもダイレクトアタック(笑)
 全然役目果たせてないぜ……。

 カースド・スピリットの食卓はどこか和む。



・ニイル
 遅々として進まないダンジョン攻略……。

 あんまり描かれてないけど、前線且つ非実体に対するACの低い自分も撤退原因なんだよなぁ。
 重装タイプの前衛だからしょうがない……しょうがないよね?(誰に聞いている

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター8

 そんなこんなでとにかく消耗だけは回復し、中一日の攻略再開。
 今度は最後尾にカナートに代わってグラウルを配置し、前回同様ヒスイにシールド・オヴ・フェイスをかけて同じ曲がり角へ。もちろん、メイジ・アーマーを行き渡らせるのは忘れない。

 
 例によって同じ場所で遭遇し……。(左写真)
DM「まぁ待ち伏せするが当たらない」
ヒスイ「また出たわ!!」
ニイル「またテメェかぁ!!」
アストリッド「相変わらず荒々しいわね……(苦笑)」
 例によってブレまくっています(笑)
 なんかもう努力目標となっている当初想定されていたイメージがどんなのか、皆もわからなくなってきているよ! ソルカーと変わんないよ!
ヒスイ「5フィートステップで下がって遮蔽覚悟で撃つわ! 速射で6ダメージとハズレ!」
グラウル「早抜きでマジック・ウェポンのワンドを抜いて、ニイルにかけます」
ニイル「サンクス!」
 殿の位置を離れ、隊列の中程に移動するグラウル。
ヒスイ「なんかさっき話してたのと違わない?」
 一応マジック・ウェポンは自分に近い方にかける算段であった。つまり本来ならニイルにかけるのはアストリッドの担当。
グラウル「ああ、だがここはとにかく先に動ける方がかけるべきだと思ったんだ」
アストリッド「う〜ん……」
ニイル「さっきはイイトコなしだったが、今度は断つ! ……だが非実体のミスチャンスで外れ。にょろ〜ん」

 
DM「というわけで敵の番なんで、やはり最後尾を狙うのだが……またカナートが襲われたぞ(笑)」
ニイル「あれ!? さっきと同じ展開!?」
ヒスイ「おかしいわよね……」
DM「魅力度に7ダメージ」
ヒスイ「グラウルが最後尾だったのはこうならない為じゃなかったのかしら?」
アストリッド「役割分担決めてたじゃないの!」
ヒスイ「私はてっきりこうなることが怖いから、あの隊列だったのかと思ってたわ」
カナート「私もそう思っていた」
グラウル「…………うん」
ニイル「俺は呪文かけて貰ったからなんとも言えないぜ」
DM「じゃあニイルが立ちはだかった方も攻撃しよう……魅力度に8ダメージ」
ヒスイ「また帰るのこれ……」
アストリッド「どうしろっていうのよ……(苦笑)」
DM「前回と似たような光景が再生されている(苦笑)」
ニイル「俺の消しゴムどこだっけ……」
DM「君の消しゴムはさっきグラウルが胸ポケットにしまっていた(嘘)」
グラウル(わざとらしく胸ポケットをまさぐる)
DM「いや、違うな。眼鏡のブリッジに載せていたよ」
グラウル(わざとらしくブリッジを触る)
アストリッド「マジック・ミサイルを撃ちます。9ダメージ」
カナート「キュア・ライト・ウーンズのダメージで足りるかな……? ディテクト・イーヴィルをリリースして……」
DM「リリースって(笑)」
ニイル「遊戯王用語じゃないか(笑)」
DM「まぁなんにせよキュアに変換するんだな(笑)」

 と、スタートで思いっきりつんのめったものの、その後の反撃で傷が拡がる前にどうにか殲滅する。

ヒスイ「敵の予備戦力が不明なんだから、ちょっとやられちゃ帰ってるんじゃ進めないわよ!」
カナート「ここは進むべきでしょう」

 乏しいレッサー・レストレーションで僅かながら魅力度を回復させ、さらに奥へ。

 
 細く曲がりくねった通路をウネウネ進んだその先には見るからに怪しい十字路があり、当然の如く待ち伏せていたのはお馴染みのカースド・スピリットに加え……。
DM「やっぱりヒスイの回避力には当てられない。カースド・スピリットの攻撃は両方ハズレた」
ニイル「じゃあイニシアチヴを……」
DM「いや、まだだ。まだ終わらんよ」
ニイル「まだ来る!?」
DM「やるな、ロンド・ベル! 脅威度低い敵ばっかじゃつまんないでしょ(笑)」
アストリッド「つまんなくていいです! ……いや、そーいうわけではないけれど!(笑)」
ヒスイ「こいつら倒してもお金が手に入らないからつまらないわ」
アストリッド「そーいう意味なの?(笑)」

 いったいなにが現れると言うんだ!? ……あ、写真に映ってるよ! 続く!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 再アタックなのに、出だしでつまずくなんてどういうこと?
 役割を決めたんだから、ちゃんと守ってちょうだい!

 つまらなくていい訳じゃないけど、そろそろ炎の魔法を使いたいわ……。



・ヒスイ
 身の軽いあたしと、防御呪文が強いグラウル、二人で前後を固めて対応するつもりだったのよね。
 それが……あぁもう! このまま進むわよ!
 厳しくても、これ以上ちんたらはしてられないもの。

 お金云々はその場の軽口で、決して本心ってわけじゃないのよ?



・カナート
《キュア・ライト・ウーンズ》をアドバンス召喚!
 なんか前回と同じ展開。痛いながら乗り切ったけど。楽観視できる状態ではないけど、進まなきゃならんぜ!



・ニイル
 いやホントつまんなくていいです。
 ていうか非実体勘弁して下さい(切実
 せっかく命がけで回収したんだ、鎧を役に立たせておくれよ。

 でもフィギュアを見るとどう見ても幽霊系。
 もういやだ。

■“西方”キャンペーン 第2回(パーティーレベル7) チャプター9

 
DM「新手は地面の下から現れてヒスイのパンツを覗きます」
 というわけで前回ラストの写真、中央のは床下から上半身出してるだけだと思いねぇ。
カナート「なんか皆オルフェノクみたいだ。白いし(笑)」
DM「無敵を誇ったヒスイの接触ACが遂に膜を破られた。21まで命中」
ヒスイ「さすがに当たっちゃうわ」
DM「HPに4ダメージ」
アストリッド「ダメージ低い……」
ヒスイ「てことはなんかある!?」
DM「ええ。エナジードレインで負のレベルを2プレゼントします」
ニイル「2レベル!?」
DM「2レベル!」
ニイル「凄い減る!」
ヒスイ「精力を持っていかれたわ……!」

 カナートが知識ロールに成功し、その正体はスペクターと判明する。
 カースド・スピリット同様に非実体で、その攻撃を受けるとエナジードレインという恐ろしさ。ただし能力値にダメージは無いようだ。

 
 たまらず撤退するヒスイに代わり、最前線に立つニイル。
 エナジードレインを受けてもアーマークラス自体はまったく変わらないので、そういった意味では接触攻撃に対して相性最悪なニイルが盾役をするのは非常に危険なのだが……。
ニイル「攻防一体を全力で!! 持ち堪える!!」
 これが効果テキメンだった。元々前回と違ってメイジ・アーマーがかかってるのもあり、対接触ACは巡航時の倍近くに達している。
DM「当然敵は聖なるオーラを放つホーリィ・リベレイターを集中攻撃し出すが……当たらない」
 その間にアストリッドとグラウルによるマジック・ミサイルの弾幕に加え、カナートのターン・アンデッドも炸裂するが、ダイス目が壊滅したことと魅力度低下によって威力が減じている影響で、カースド・スピリットの退散は一体に留まる。
DM「グラウルは本来魔法戦士のはずだのだが、マジック・ミサイル撃ってばかりだな(笑) もちろん、君のそのマジック・ミサイル連打が無ければ大変だったので、“仕事間違えてないか?”ではなく褒めてるのではあるが」
グラウル「今回は1レベルの呪文スロットを全部マジック・ミサイルにしてきてあるよ」
ヒスイ「大胆だわ!」
DM「だが確かに本来得意とする炎の呪文は効果が薄いからな。読みが外れるリスクを考えると、いささかギャンブル的要素もあるにはあるが、現状はビンゴだ。狭い通路で前衛が並び立てないというのも加味した、ナイスチョイス」

 
 だが戦局は急転する。
 攻防一体を辞め、攻勢に転じたニイルのハルバードが空を斬り……。
DM「反撃だ。命中して、3ダメージと2レベルドレイン」
 頼みのターン・アンデッドは低下した魅力度の影響で使用回数が僅か1回に減じており、それは既に先程使い切っていた。そこへ先程ターンしたものとは別個体と思われるカースドスピリットが、一体増援として現れる。
 仲間が援護しようにも立ち位置的に敵を視界に収めることすら難しく、戦線の再構築もままならぬままサンドバック化しつつジリジリ後退するニイル。あっという間にエナジードレインが6レベルに達し、1レベルに。だが後退によってようやく視界に捉えたアストリッド&グラウルのマジック・ミサイル集中射撃で、スペクターは陥落する。
 なのだが、その間にカースドスピリットの攻撃を浴びてグラウルも自我を失ってしまう。

 
アストリッド「もうこうなったら……ごめん、ニイル!! ファイアボール!!!」
 レベルが下がりまくってもまだニイルの方がカースド・スピリットよりはHPが高い(実際にレベル1相当のHPになるのではなく、レベル毎に5下がるだけなのだ)であろうことを見越しての、ヒスイ以外の全員を巻き込んでのファイアボールが炸裂し、どうにか掃滅に成功するのであった。
 ちなみに謝ってるのはニイルに対してだが、ヒスイ以外全員巻き込んでるぞ(笑)

 満身創痍のパーティー! 第2回終了!


●プレイヤーズコメント

・アストリッド
 皆、ごめん!敵を倒すためとはいえ、巻き込んでしまったわ。
 でも、エナジードレインとは参ったわね。この先どうしたらいいのかしら?
 ……それはそれとして、隊列乱して何やってるのよ!前回の反省を活かさなければ意味無いわよ、もう。



・ヒスイ
 下から!? ……は、百歩譲っていいとしても。
 なによ、この絵の構図は(笑)
 じゃなくて、あたしの大事なもの、奪ったでしょ。
 かえしなさいよ!

 何とか倒せたけれど……これって、どうにかなるの?
 アストリッド以外、皆ほとんど死人みたいな生気のなさね……。



・カナート
 その先に待っていたのは紐でもフリフリでもなくスペクター。白いぜ。
 マジック・ミサイル全弾発射で切り抜けたが、エナジードレインに魅力ダメージ……。そして果たしてファイアボールのダメージに耐えられるのか!
 あ、カナートは働いてたけど、有効打がありませんでした。……体育座り。


・ニイル
 どうにか新手も殲滅……あれ?
 自分の、レベルが、1に、見えるよ?(いっこく堂風
 ……こうして見ると、攻防一体解いたのが間違いだったのかー。


 最後は爆発オチで次回へ続く。